KPMGコンサルティング ITアドバイザリー 執行役員パートナー 浜田浩之氏

KPMGコンサルティングは10月24日、ハーヴィー・ナッシュと合同で、世界84カ国、3958名のCIO(最高情報責任者)およびITリーダーを対象に実施した「Harvey Nash/KPMG 2018年度CIO調査」の日本語版を刊行した。同調査に参加した日本企業は20数社とのこと。

ITアドバイザリー 執行役員パートナーの浜田浩之氏は、同調査結果のポイントの1つとして、CIOの「立ち位置の変化」を挙げた。

同調査で、CIOが担う戦略的役割が増していると感じている回答者は65%と、大幅増となった前年の71%から若干減少した。浜田氏は、その要因として、「CDO(チーフデジタルオフィサー)の台頭」「デジタルの重要性の上昇」「イノベーションの実現」「情報の保護」「シャドーITによるビジネス遂行」を挙げた。

同調査では、専任のCDOを設置している組織が11%ある一方、その倍以上の24%はCIOが、また14%はCIO以外の役職者がCDOを兼任していると回答したという。

こうした組織におけるCDO(チーフデジタルオフィサー)の存在感の高まりとともに、IT部門以外の部門が直接管理するIT予算が増える中、デジタルを活用する先行企業において経営陣がCIOに対応を求めるビジネス課題が変化しているという。

調査では、全体平均として経営陣はCIOに安定性を求めているのに対し、デジタルリーダーは「革新的な新製品・サービスの開発」を最も重視するという結果が出ている。

  • 経営陣がCIOに対応を求めるビジネス課題 資料:KPMGコンサルティング

また、デジタルについては「デジタルテクノロジーの利用が効果的」と回答した組織の61%が競合企業よりも大幅な増収を記録しているという。同調査では、デジタルテクノロジーの投資状況についても聞いているが、クラウドとモバイルへの投資は一定の成熟度に達しているが、それ以外のテクノロジーは用途が特定の業種に限られていることが明らかになったという。

  • デジタルテクノロジーへの投資状況 資料:KPMGコンサルティング

セキュリティについては、過去1年間において、経営陣における優先課題として「サイバーセキュリティの強化」が23%、「オペレーショナルリスクの管理」が12%増加していることがわかった。加えて、スキルが不足している分野においても、「ビッグデータ/分析」が4年連続で最も不足しているスキルとして回答者の46%が挙げているが、「セキュリティ/レジリエンス」は前年比で最も変動が大きく、前年の28%から35%に大幅に上昇しているという。

  • スキルが不足している分野  資料:KPMGコンサルティング

スキル不足の解決策として従来の「請負業者や外部コンサルタントの採用」が第1位に挙げられている一方、67%が人員を補充する代わりにオートメーション化を既に実施あるいは計画していると回答している。

  • スキルが不足の解決策  資料:KPMGコンサルティング