アイ・ティ・アール(以下、ITR)は25日、国内のRPA(Robotic Process Automation)市場規模推移および予測を発表した。
RPAは、労働人口の減少や高齢化、働き方改革に対する関心の高まり、業務のコスト削減や均一化などを背景に、2018年も勢いが衰えることなく、幅広い業種や業務に導入が進んでおり、2018年に入ってからは手作業によるデータ入力業務において、RPAと連携するかたちでOCRを活用し、業務の効率化を目指す企業が増え始めている。
OCRは認識精度の問題から企業での導入は限定的であったが、近年のAI活用による認識精度やデータの自動抽出機能の向上により、OCRが見直されていることが背景にあるという。加えて、RPA導入を機に業務システム全体の見直しを検討する企業も増えつつあり、これに伴いBPMやBRMSの導入を検討する企業も出始めているとのことだ。
2017年度のRPA市場は、売上金額35億円と前年度比約4.4倍の急速な伸びを示した。ITRは、2018年度も引き続き同2.5倍の高い伸びを予測している。また、導入単価の下落が進みつつあるものの市場参入ベンダーが拡大しており、今後も継続的な導入拡大が見込まれることから、2022年度には400億円市場となり、CAGR(2017~2022年度)は62.8%を予測している。
ITRの取締役/シニア・アナリストである舘野真人氏は、次のように述べている。「2017年度は、それまで金融・保険業など一部の業種で先行していたRPAツール導入の動きが、他業種へも広がった年であるといえます。また、RPAツールを取り扱うSI企業の数が増加し販路が拡大したことも 、成長を後押しする要因となりました。2018年度は、試行段階にある企業での本格稼働が進むことから、市場規模は大きく拡大し、この高い成長率は2020年度まで続くと見られます。その一方で、製品ベンダー間の競争も激化しており、製品単価の低下や、一部の先進ユーザー企業における製品の切り替えなどの動きも始まっています。今後、大規模稼働に対応したロボットの管理・ガバナンス機能をもつ製品の需要が高まると考えられます」