2018年のiPhoneのラインアップの中で、筆者が選ぶとしたら、「iPhone XS Max」だ。すでに使い始めて3週間が経過しており、想像していた部分、それと異なる部分、他機種との比較などをご紹介したいと思う。

筆者はケータイ世代の走りであり、インターネットへのアクセスデバイスははじめからモバイルだった。そのこともあって、スマートフォンはPCやタブレットよりも長い時間接している、いわゆる「メインデバイス」となる。

サイズのマジック

スマートフォンをメインとする一方で、手が大きい方ではなく、iPhoneが4インチから4.7インチに拡大した2014年には、片手で握りながらの操作を危なっかしいと感じるようになった。ならばと、その後はできる限り画面サイズが大きなモデルを選び、両手で使うスタイルにしている。

iPhone XS Maxは6.5インチの有機ELディスプレイを備え、これまでのiPhoneの中で最大の画面サイズを備える。ただ端末サイズでいえば、iPhone 8 Plusなど従来の5.5インチ モデルと比べ、わずかだが小さくなった。縁までディスプレイを敷き詰めるオールスクリーンによって、より大きな画面サイズと同等の端末サイズを両立させているのだ。

端末サイズ比較。「iPhone XS Max」(左)は、高さ157.5mm×幅77.4mm×厚さ7.7mm。「iPhone 8 Plus」(右)は高さ158.4mm×幅78.1 mm×厚さ7.5 mmで、iPhone XS Maxの方が小さくなっている

2018年モデルのiPhoneは全モデルでオールスクリーンが採用されたが、興味深いことに、iPhone XS、XR、XS Maxの3モデルとも、端末サイズはiPhone 8と8 Plusの間に収まっている。そのため、もしiPhone 6 Plus以降の5.5インチモデルを使っている場合は、どれを選んでも端末サイズで困ることはないだろう。

筆者の場合、操作する上ではいずれにしろ両手が前提となるため、画面サイズの拡大はキーボードなどのインターフェイスの操作のしやすさにつながり、むしろありがたい対応となる。ただそのサイズが故に、持ち運ぶ際には問題が生じる場合も多い。ズボンやジャケットのポケットに収まらない点は、ジレンマとなる。

PlusユーザーはMaxしか選べない

もう1つのジレンマは、5.5インチのPlusユーザーと画面サイズの問題だ。

iPhone Xが登場した2017年、それまでで最も大きな画面サイズとなった5.8インチのディスプレイを備えていた。しかし「最大の画面サイズ」という表現は、NetflixやYouTubeなどで映像を楽しんでいる人から反論されることになる。

確かに表示領域の対角は5.8インチかもしれないが、横幅は5.5インチのPlusモデルより狭く、縦の長辺がぐっと伸びている。そのため16:9の映像を見る際は短辺の長さで映像のサイズが決まるため、iPhone 8 PlusよりもiPhone Xの方が小さくなってしまうのだ。

iPhone XRも、横の幅はiPhone 8 Plusより狭いため、やはり映像を楽しむ際のサイズは小さくなる。結果としてiPhone 8 Plusと同じ画面の幅があるiPhone XS Maxを選ばなければ、同等の視聴体験を楽しむ事はできない。

Plusサイズでビデオを楽しんでいれば、その体験を維持するためにはiPhone XS Maxを選ぶしかなくなる。

価格はだれにとっても問題

そのiPhone XS Maxは米国で64GBモデルが1,099ドルから販売されているが、ビデオやゲームをダウンロードして楽しむ事を考えれば、1,249ドルの256GBモデルを選んでおくべきだ。ちなみに日本のApple Storeでの価格は141,800円(税抜)。

確かに値は張るが、iPhoneは他のスマートフォンに比べ、ソフトウェアのサポート期間も5年近くと長く、昨今はiOSの刷新で過去のモデルの速度向上も見られている。「A12 Bionicプロセッサ」も、2~3年はハイエンドスマートフォンの性能を発揮し続けるだろう。

それでも、SIMフリーモデルを手に入れようとすれば1度の出費は大きいし、12回払いにしても毎月の支払いは12,000円を上回る。

米国などでApple Storeが提供するiPhone Upgrade Programを利用できれば、24分割して毎月60ドル33セントを支払い、12回払った段階で新モデルに乗り換えられる。かつAppleCare+が付帯するため、日本での分割払いより有利だ。

注意が必要なのは、10万円以上の製品でローンを組むことにもハードルがあるといわれている点。これはApple Storeだけでなく携帯電話ショップでの購入の際にも障害となってくるだろう。

iPhone XRとの比較

10万円のハードルという点では、売れ筋となる128GBモデルが10万円を切っているiPhone XRは、価格面でより魅力的と言える。iPhone XS Maxと比べると、

・ディスプレイのテクノロジー
・ディスプレイのサイズと解像度
・シングルカメラ
・4×4 MIMOへの対応

の4点が性能面での違いとなる。

ディスプレイは有機ELではなく液晶となり、解像度はフルHDに満たない。

またiPhone XS Maxより画面が小さいため、iPhone 8 Plusと比較すると、映像を楽しむ際のビデオの領域もわずかに小さくなる。しかしiPhone 8と同じドットの細かさで画面を拡大していることから、画面が粗く感じるわけではない。

シングルカメラの問題もある。望遠やマクロ撮影を好む人にとっては、瞬時に2倍に切り替えられるデュアルカメラの方が便利だし、人以外のポートレート撮影にも向いているだろう。その一方で、iPhone XRで実現する広角でのポートレート撮影は、グループショットにも向いており、使い勝手が良い場面もあるかもしれない。

一方で6色のカラーバリエーションは、iPhone XRならではの特徴と言える。

ホワイト
ブラック
ブルー
イエロー
コーラル
(PRODUCT)RED

そして、iPhone XS MaxはXよりも1時半のバッテリー持続時間向上を実現しているが、実はiPhone XRはXS Maxよりも、インターネットやビデオ再生で更に長い持続時間を実現していることも知っておきたい。

XR(右)のインターネット利用は最大15時間、ワイヤレスでのビデオ再生は最大16時間を実現。これはXS Max(左)のインターネット利用最大13時間、ワイヤレスでのビデオ再生最大15時間よりも長い

まだ試していないiPhone XRに高い評価を与えることは早計だが、A12 Bionicを搭載し、長く高い性能を維持できる点はiPhone XS Maxと同様であり、2018年のiPhone体験を十分楽しめることは間違いない。

iPhone XRについてはまだ見どころがありそうなので、機会があれば実機レビューを通じて、改めて考えてみたいところだ。

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(松村太郎)