電通国際情報サービス(以下、ISID)、オカムラ、明治安田厚生事業団は10月11日、オフィスリノベーションによる働き方改革が、社員の健康や行動に与える影響を明らかにする共同実証実験を開始した。
近年、「働き方改革」や「健康経営」の実現に向けさまざまな施策がオフィスに導入されているが、オフィス環境と従業員の行動の相関を定量的に計測する手法は確立されておらず、オフィス施策の効果が見えにくいことが課題となっているという。
そこで同実証実験では、最新のディープラーニングを活用した画像解析技術でオフィスリノベーション前後の定点カメラの映像を分析・可視化し、これを活動量計や質問紙調査等の個人データと組み合わせて検討することで、リノベーション前後での行動変化が心身の健康度や労働関連指標の改善につながるかを検証する。
実証実験は、リノベーション実施および計測・記録、分析・プロトタイピング、効果検証の3つのステップで行われ、現在は分析・プロトタイピングが進行しているという。
リノベーション後のオフィスは、従業員がその時の仕事内容に適した場所を選択して働くABW(Activity Based Working)の考え方を取り入れた、さまざまな広さのオープンスペース設置やグループ単位で使える執務机配置などが特徴。
同エリアで勤務する従業員に活動量計を装着してもらい、座りすぎを中心とした身体活動の記録データを取得。計測期間はリノベーション前後の各2週間(計4週間)、各日とも睡眠・入浴時等を除き終日。
「分析・プロトタイピング」では、定点カメラで撮影した映像データに、ディープラーニング・アルゴリズムを活用した画像解析技術を適用し、オフィスのいつ、どこに、何人の従業員がいたかを認識・検出する。検出したデータをもとに、経過時間ごとの従業員の位置を、オフィスの見取り図に重ね合わせて表示するシステムのプロトタイプを開発。リノベーション前後のオフィス内の人の流れが一目でわかる仕組みを実現する。
効果検証は、従業員の身体活動の記録データ、分析・プロトタイピングで得られたオフィス内の人の流れのデータを組み合わせて評価する。ワーカーのアクティビティが高いエリアと低いエリアが、リノベーション前と比較してどのように変化したか、職種や業務内容ごとに特徴や違いがあるか、社員交流を目的としたオープンスペースがねらいどおり活用されたかなどを検証する。