アマゾン ウェブ サービス ジャパンは10月10日、2017年3月に米国で発表したク今後数カ月以内にクラウド型コンタクトセンター・ソリューション「Amazon Connect」を東京リージョンで提供すると発表した。
「Amazon Connect」はもともとAmazonが開発したソフトウェアベースのコンタクトセンターだ。事業開発本部 部長 安田俊彦氏は「Amazonのコンタクトセンターでは、32カ国にわたる数百万の顧客、数十種類の言語に対応する必要がある。さらに、Amazon Prime Dayの時は数千のスタッフを追加し、翌日には元の規模に縮小する柔軟性も求められている。既存のソリューションでは、こうしたAmazonのニーズを満たすことが難しかったので、自社でコンタクトセンターを開発した」と説明した。
「AmazonのコンタクトセンターをAWSのサービスとして提供してほしい」という顧客の声にこたえ、「Amazon Connect」をリリースすることになったという。
安田氏は「Amazon Connect」の特徴として、「セルフサービスのためのコンフィグレーションの提供」「オープン・プラットフォーム」「容易なコンタクトフローの作成」「機能拡張とアップデート」「使いやすい利用料金」を挙げた。
ハードウェアの設置が必要な従来のコンタクトセンター・ソリューションが構築に数カ月要するのに対し、「Amazon Connect」は数ステップのセットアップ作業で構築できるため、利用までにかかる時間は数分だという。
安田氏は、「オープン・プラットフォーム」の内容として、「サードパーティー製品とのインテグレーションが可能なこと」「データの所有権がユーザーにあること」「高度なコンタクトセンター・ソリューションを開発できるAPIが用意されていること」を紹介した。
また、AWSの各種サービスを組み合わせて、機能が豊富なコンタクトセンターを構築することも可能だ。例えば、データレイクのサービスを用いたログを分析する機能、AIのサービスを用いた感情分析や自動応答の機能を追加することができる。
機能拡張とアップデートに関しては、21の機能が2018年に実装されている。以下の機能のうち、赤字のものは日本の個客の要望に応えたものだそうだ。
従来のコンタクトセンター・ソリューションが席数やエージェント数に基づく課金モデルをとっているのに対し、「Amazon Connect」は顧客と会話した接続時間に応じた従量課金モデルをとっている。具体的には、Amazon Connectの利用料と電話料金が分単位で課金される。
Amazon Connectは2017年3月に発表されたのだが、日本の顧客「国内でデータを保持したい」「遅延の少ないネットワークを利用したい」「日本の地域番号、無料通話番号を提供したい」という要望が寄せられたことから、今後数カ月以内に、東京リージョンでの提供されることになったという。
Amazon Connectは「顧客管理とBPM」「ワークフォース最適化と品質管理」「分析とコミュニケーション」といった分野において、パートナーとの連携が進んでいる。発表会には、AWSを活用した次世代コンタクトセンターサービスの提供を発表したトランスコスモス、Amazon Connectと自社のAI音声認識ソリューションの連携を発表したアドバンスト・メディアの担当者が参加した。
トランスコスモスはもともとオンプレミスのコンタクトセンター・ソリューションを提供していたが、東京リージョンのリリースに合わせ、「Amazon Connect」と連携したハイブリッド型のコンタクトセンター・サービスの提供を開始する。
新サービスでは「クラウドPBX」「有人コンシェルジュ」「リアルタイムダッシュボード」「スタティックダッシュボード」「CTS連携」「音声認識結果のCTS表示」「FAQレコメンド」「音声認識IVR」といった機能を提供する。
大瀧氏によると、今年9月から、同社の人材採用窓口においてシドニー・リージョンの「Amazon Connect」のトライアルを開始しているという。今後、時間外のノンボイス誘導を実装し、24時間受付を実現する予定だ。
アドバンスト・メディアは、同社のコールセンター向けAI音声認識ソリューション「AmiVoice Communication Suite」と「Amazon Connect」を連携させる。具体的には、Amazon Connectで音声を取得して、AWS上に構築したAmiVoice Communication Suiteのサーバでリアルタイム処理を行う。オペレーターには、リアルタイムでテキストが表示され、管理者はリアルタイムでオペレーターの対応状況が表示される。
AWSは音声やテキストを用いて任意のアプリケーションに対話型インタフェースを構築するサービス「Amazon Lex」を提供しているが、まだ日本語に対応していない。そのため、Amazon Connectと連携して、日本語によるテキストの会話型インタフェースを提供したい場合は、AmiVoice Communication Suiteを利用すれば可能になるというわけだ。
アドバンスト・メディア 取締役 執行役員 CTI事業部長の大柳伸也氏は、今後、テキスト化された2次データの活用までサポートしていきたいと語った。