2011年から掲載店舗数は毎年10,000店舗くらいのペースで増加。掲載店舗が増えないとユーザーは増えないが、ユーザーを増やす努力もしなければならない。ビジネスモデル転換に着手した2010年の9月には、コンシューマー向けのブランド認知を広げるため、Shufoo!として初めてテレビCMを打った。

それから3年ほどはブランディングとユーザー獲得両方に注力。2011年には韓国の人気俳優をメインキャラクタに起用。およそ2年でユーザーは数10万人から約200万人へと激増した。その後もタレントを起用するなど、40代以下の主婦層にとって身近な人物を広告塔にして、認知獲得のための活動を続けた。

Shufoo!の認知度が70%を超えた2018年現在、同社はマス広告を行っていない。今は約50人体制で、検索流入してくる新規ユーザー向けにSEOを強化したり、Shufoo!サイト上でポイントプログラムを導入するなど、既存ユーザーに対して継続利用を促したり、アプリダウンロードを勧めたりする施策に力を入れている。

店舗ごとに新鮮な情報をいつでも出せる仕組み

2011年頃までは新聞の折込チラシがそのまま掲載されるケースが多かったが、2012年に登場したのが「刷らないチラシ」だった。現在、Shufoo!に載るチラシの半数以上は、Web専用の刷らないチラシだという。

「チラシは配布1カ月前の企画内容で作成されていたもの。しかも本部主導の情報で、店舗ごとの情報を出すことができなかったんです。Shufoo!では店舗向けの管理画面を作り、各店舗が24時間365日、新鮮な情報を出せる状態を整えています」(亀卦川氏)

豊富なチラシメニューがある中で人気なのが「ミニチラ」だ。店舗の売り場スタッフがタイムセールや売れ筋商品の在庫、これから販売するお惣菜の情報などを、地域の生活者に対し、自身の言葉で伝えることができる。ブログを書く感覚に近い。

  • 「ミニチラ」

チラシのクリエイティブも変遷している。近年は縦スクロールで見るタイプが多いが、2012~2014年頃までは横スクロールで見るものが主流だったという。

「掲載商品の点数を絞る、商品の端を見せるなど、スクロールしたくなる仕掛けはいろいろありますね。スマホだからこそ、電子チラシだからこそできる、紙とは異なる見せ方が特徴的です」(凸版印刷 メディア事業推進本部 課長 石田佳孝氏)

  • 6品くらいの特売情報がひと目でわかるような「1枚1チラシ」

地域の人々の行動情報はShufoo!の財産

最後に、Shufoo!の今後取り組みに聞いたところ、亀卦川氏は次のように回答した。

「デジタルの世界で一部のユーザーにターゲティングされた情報は、それ以外のユーザーに届くことはありません。一方、チラシはそうではなく、すべての人にどうしても届いてしまうもの。そこに勝機があります。

たとえば、昨日まではクルマや住宅のチラシに見向きもしなかった女性が、ある日からそれらの情報を見始めた。これは私たちにとって重要な履歴データになります。その瞬間、興味のフラグが立つということですから」(亀卦川氏)

こうしてShufoo!のもとに集まった何千万もの行動情報、履歴を活用して、Shufoo!では他のメディアで広告ターゲティングをしたり、DMや店頭プロモーションをしたりと、オンラインとオフラインをつなげた集客をデータで支援していくという。

「生活者の日々の買い物情報、地域情報が集まると、その人の行動がわかり、パーソナライズできるようになる時代がやってくる」。その発想から生まれ、今日まで歩んできたShufoo!。

主婦がリアルの世界でどう動いているかを表すデータは、とくにデジタル業界で希少性が高いと亀卦川氏は話す。“独自資産”となるデータを活用して、主婦以外にも領域を広げていきたいと同氏は展望を語ってくれた。