宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日、小惑星「りゅうぐう」の上空に到達していた小惑星探査機「はやぶさ2」が搭載していた2台の小型探査ローバを「りゅうぐう」の地表に向けて放出、無事着陸させることに成功した、と発表した。JAXAによると、2台のローバは「りゅうぐう」表面の移動や撮影にも成功した。小惑星表面の撮影は世界初という。

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    画像1 「はやぶさ2」から分離された直後に「ローバ1B」が撮影した小惑星「りゅうぐう」の表面(右下) (JAXA提供)

「Rover1A(ローバ1A)」「「Rover1B(ローバ1B)」とそれぞれ名付けられた2台の小型探査ローバはコンテナ「MINERVA-Ⅱ1(ミネルバⅡ・1)」に格納されて「はやぶさ2」から日本時間21日午後1時すぎに放出された。もう1台のローバを収納した「MINERVA-Ⅱ2」は来年放出される予定。

今回「ミネルバⅡ・1」は着陸後に計画通り「ローバ1A」と「ローバ1B」という2台の小型探査ローバに分離された。2台とも直径約18センチ、高さ約7センチ。遠くからは円形に見える正16角柱で、重さは1.1キロ。装備されたカメラや温度センサーがそれぞれ表面を撮影したり温度を計測したりする。それぞれのローバは「はやぶさ2」に搭載されている中継器を使って「はやぶさ2」と通信。「はやぶさ2」が地球にデータを送る仕組み。「ローバ1A」は分離直後に「りゅうぐう」の表面を撮影し、その画像が無事地上のJAXA管制センターに送られてきた。

「りゅうぐう」の重力は極めて小さいため摩擦力を利用する車輪などは使えない。このためローバは「ホッピング機構」と呼ばれる方法でジャンプしながら移動する。ローバの内部には小型モーターが内蔵されており、このモーターが回転すると反動で機体がジャンプして移動する仕組み。1回ジャンプすると空中に飛び上がってから着地するまでに最大約15分間滞空し、水平方向に最大15メートル移動できる。ローバはこうした移動を地球からの管制によってではなく、自律的に行うという。

初代の「はやぶさ」は2005年11月に小惑星「イトカワ」に向けて小型ロボット「ミネルバ」を放出したが、着陸に失敗した経緯がある。今回は13年ぶりの再挑戦で雪辱を果たした形だ。

「はやぶさ2」は、打ち上げから約3年半の間に「スイングバイ」をしながら約32億キロに及ぶ長旅を終えて6月27日に地球から約3億キロ離れた「りゅうぐう」上空に到着した。「ミネルバⅡ・1」と「ミネルバⅡ・2」が採取した岩石などを搭載して2020年末に地球への復路を飛行し、20年末にオーストラリアの砂漠上に試料を収めたカプセルを落とす計画だという。

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    画像2 「はやぶさ2」の底面に搭載されたコンテナ「ミネルバⅡ・1」「ミネルバⅡ・2」。「ミネルバⅡ・1」は2台、「ミネルバⅡ・2」は1台の小型探査ローバを格納している(JAXA提供)

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    画像3 コンテナ「ミネルバⅡ・1」(これ自体が小型ローバと表現されることがある)格納前の「ローバ1A」(左)と「ローバ1B」(右)(JAXA提供)

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    画像4 小惑星「りゅうぐう」の地表を探査する「ミネルバⅡ・1」の小型探査ローバ「ローバ1A」(奥)と「ローバ1B」(手前)の想像図(JAXA提供)

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    画像5 9月12日に「はやぶさ2」搭載のカメラで撮影された「りゅうぐう」。635メートル離れたところから撮影(JAXA提供)

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    画像6 小惑星「りゅうぐう」地表付近に到達した「はやぶさ2」の想像図(JAXA/池下章裕氏提供)

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