京セラは、9月5日から7日にかけて幕張メッセにて開催されている分析機器・科学機器専門展示会「JASIS 2018」にて、先般発表したばかりの自動で血液などの体液から任意の細胞を分離して、その濃度を計測できるマイクロ流路チップ「細胞分離・濃度計測デバイス」や、開発中の小型・薄型ピエゾマイクロポンプの紹介などを行なっている。

細胞分離・濃度計測デバイスは、分離された特定細胞がマイクロ流路を流れる際にLEDとフォトダイオード(PD)を組み合わせた独自の濃度測定センサを用いて測定を行なうことで、その濃度を計測するというもの。すでに広島大学発のベンチャー企業「ミルテル」での利用が決まっているほか、今回の出展を通して、新たな用途開拓などを目指すとしている。

  • 細胞分離・濃度計測デバイス

    細胞分離・濃度計測デバイス。リファレンスの流路と、特定細胞が流れる流路をセンサ部が高速に測定・比較を行なうことで、濃度の測定を実現する

また、同社は、自社が得意としているピエゾ技術を活用した展示も2点行なっている。1つ目は島津製作所ならびに理化学研究所(理研)との共同研究「RiKS PROJECT」として進められているDNAの定量測定を可能とする装置で用いられる微量のサンプル吸引を可能とする「ピエゾ方式マイクロピペッター」。同プロジェクトについては、島津製作所が装置全体の開発を担当しているため、京セラブースでは、同社が担当したマイクロピペッター部分のみの紹介が行なわれている。

2つ目は、開発中の小型・薄型ピエゾマイクロポンプ。水の場合、1分間で5000μlの流量をほぼ10mm角の小型ポンプで実現できるというもので、ポンプ部分の開発は完了したものの、実際に使用するためには、具体的な用途に対する最適化の調整が必要なため、今回は参考出展という扱いになったという。

  • 開発中のマイクロポンプ

    開発中のマイクロポンプ。基本構造についてはほぼ完成しているとするが、実用化に向けては、実際の用途に向けた最適化などを図っていく必要があるため、今回、その用途探索などを目的に展示を行なったという

水以外の液体としてはどういったものが適用可能か、と担当者に確認してみたところ、ある程度の粘度までであれば対応可能だが、血液などの懸濁液の場合、逆支弁が塞がらなくなる危険性があるため、利用は難しいという回答であった。ただし、今回は液体への対応ということであったが、ガス(気体)にも対応させることが可能であるとのことで、さまざまな分野から、広くニーズを聞き、パートナーシップなども視野に事業化に向けて開発を継続していきたいとしていた。