最近は使いやすさと手軽さから、コードレス掃除機をメイン掃除機として利用する家庭が増えています。コードレス掃除機というと「スティック型」が主流ですが、キャニスター型のコードレス掃除機もここ数年で登場しています。

そんななか、シャープがコードレスキャニスターとしては2代目となる「RACTIVE Air(ラクティブ エア) EC-AS510/710」(以下、EC-AS510/710)を発表しました。9月13日に発売します。コードレスの掃除機はスティック型が多いなか、コードレスキャニスターの使い勝手はどうなのか? ひと足先に製品を触らせてもらいました。

  • RACTIVE Air

    新製品のキャニスター型RACTIVE Air。左から上位機種のEC-AS710(ゴールド系)、標準モデルのEC-AS510のピンク系とバイオレット系。2モデルに機能差はなく、付属するアクセサリーのみ異なります

キャニスターならではのメリット

キャニスター型掃除機というと、掃除中に本体がゴロゴロと人の後ろをついてくるため「取り回しが面倒」という印象があります。ただし、モーターやバッテリーといった重いパーツは床に置く本体に内蔵するため、スティック型より手に負担がかからず疲れにくいというメリットも見逃せません。EC-AS510/710は、このキャニスターならではな「使いやすさ」を最大限に活かした製品です。

シャープのRACTIVE Airシリーズといえば、スティック型もキャニスター型も「軽さ」が特徴。キャニスター掃除機は「階段を上がるときなど、本体を持ち上げるときに重い」という声もありますが、EC-AS510/710はなんと本体重量が1.8kg(パイプやヘッドなど合わせた総重量は2.9kg)しかありません。

数年前まで、キャニスター掃除機の平均重量が4kg~5kgであったことを考えると、かなり軽量。本体を手に持って移動してもあまり負担を感じません。また、パイプとヘッド、ホースの総重量は1.1kgですが、ヘッドを床に接地して掃除するとき、手にかかる負担はなんと400gほどだといいます。

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    床の掃除中、手にかかる負担は約400g。長時間使っても疲れにくいのが特徴です

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    本体重量は1.8kgなので、エアコンの上の掃除や階段移動などでもあまり負担になりません。右手でパイプ、左手で本体をもったまま掃除するのもアリかも、と感じたほど

ラグなどの段差を楽に乗り越え

EC-AS510/710を使ってとくに便利に感じたのが「掃除中によくある面倒な動作」を回避できる点。たとえば、毛足の長いラグ(マット)などは床と1cm~2cmほどの段差があるため、一般的な掃除機だと一度ヘッドを「持ち上げ」てラグに乗せる動作が必要です。しかし、EC-AS510/710はヘッドを勢いよく段差にぶつければ、そのままラグに乗り上げられます。

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    従来モデル(写真右)のヘッドはラグを乗り越えられませんでしたが、新製品(写真左)は乗り越えることに成功。ただし、軽くそっと動かしただけでは乗り越えられず、それなりに勢いは必要でした

これは「ラグ越えヘッド」と呼ばれる新機能。ヘッドの先端部をむき出しにすることで、段差のあるラグも簡単に越えられるようになっているのです。「ヘッドを持ち上げる」という動作は一見そこまで面倒ではないように思えますが、家のなかには玄関マットやバスマット、キッチンマット、リビングのラグなど、思ったより多くのマットが存在します。積み重なると、意外とわずらわしい作業となるのです。

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    新製品(写真左)はヘッドの前面が開いていますが、従来までのヘッド(写真右)は前面が床まで密閉されているのがわかります

また、ヘッド前面が開いていることにはもうひとつメリットがあります。それは、大きなゴミや壁際のゴミ吸い取り効率のアップです。一般的な密閉型ヘッドの場合、大きなゴミはヘッドに押されて壁際に押しやられがち。そのうえ、ヘッドの形状によっては壁際のゴミをうまく掃除できないことも多いのです。ところが、EC-AS510/710のような前面開放型ヘッドの場合、ヘッドがゴミを押し出すことなく、大きめのゴミもその場で吸い込むことが可能。壁際のゴミもきちんと掃除できました。

  • RACTIVE Air
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  • 少し大きめの塊ゴミを掃除したところ。従来までの密閉式ヘッドだと、ゴミを壁際まで押したうえでヘッドを何度も壁際に行き来させないと、ゴミを取り切れませんでした

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  • 新しい密閉型のラグ越えヘッドでゴミを掃除したところ、ゴミを押し出すことなく一度で吸引しました

「かがむ」動作を回避

このほか注目したいのは「スグトルブラシ」の存在です。床を掃除しているとなぜか棚の上などのホコリが目につくことがありますが、そういった場合は掃除機のヘッドを外して「ブラシ」アタッチメントで掃除をすることになります。ところが、ヘッドを外したり、付け直したりといった動作は床の上ですることが多いため、従来まではヘッドを外すタイミングと、ヘッドの装着タイミングで2回「かがむ」必要がありました。EC-AS510/710は、このブラシとヘッドの付け替えを立ったまま行えるのが特徴です。

ヘッドを外すときは、手元にあるロック解除ボタンを押しながらヘッドを軽く足で踏んでパイプを抜くだけ。抜いたパイプの先がもうブラシ状になっているので、ブラシアタッチメントを装着する必要はありません。

さらに面白いのが外したヘッド。なんと外したあとのヘッドは、パイプとの接続部がかならず上を向くようになっており、パイプを上からズボッと挿すだけで、簡単に再装着が可能になっています。今までヘッドの付け替えに何度も立ったりかがんだりする必要があったので、「床以外の掃除はあとでまとめて」と考えていましたが、スグトルブラシによって、気になる場所をそのつど掃除しやすくなりました。

  • RACTIVE Air
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  • 手元のボタンを押しながら、ヘッドを足で踏んでパイプを抜くと、先端がブラシ状のアタッチメントになります。腰をかがめなくてよいのは楽!

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  • ヘッドのパイプとの接続部はバネでかならず上を向くようになっています。このため、本体に再接続するときも立ったまま、パイプを上からはめ込むだけでOK

また、便利だと感じたのが「マジックバランス」。これは、手を離してもパイプ部が自立する機能のことです。家具を移動させるときのようにちょっと掃除を中断しても、パイプ部を床に寝かせて置く必要がないので、掃除の再開時にいちいちかがんでパイプを手に取る手間がかかりません。スティック型掃除機のなかには本体が自立するタイプもみかけますが、キャニスター型で自立するパイプは意外と少ないので、なかなか魅力的でした。

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    パイプ部分を自立させられるのがかなり便利! ただし、自立させるにはヘッドと掃除機本体を一直線に配置する必要があるなど、慣れが必要そうでした

ちなみにシャープによると、「ラグ越えヘッド」「スグトルブラシ」「マジックバランス」の3機能で、掃除時にかかる身体への負担は最大68%減るそうです。

細部まで使いやすさにこだわり

このほか、ダストカップのハンドルを回すことでゴミを「固める」ことができるスクリュープレス機能も搭載。また、バッテリーが切れても、予備バッテリーがあればすぐに掃除が再開できるように、バッテリーは着脱式にするなど、使いやすさへのこだわりが見え隠れします。

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    ダストボックス上部にあるハンドルをキリキリと回すことで、ゴミが圧縮されホコリが舞いにくくなります

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    バッテリーは着脱式なので、すぐに予備バッテリーと替えられるメリットが。反面、充電のたびに取り外す必要があるのは不便かも

発売されるモデルは2タイプ。機能は同じですが、付属するアクセサリーが異なります。標準モデル「EC-AS510」のパッケージには着脱式バッテリー×1、すき間ノズル×1、ベンリブラシ、スグトルブラシ×1、ホースフック×1がついてきます。一方、上位モデル「EC-AS710」には着脱式バッテリーが2個付属。また、標準セットのアクセサリ-以外に布団ヘッドが付いてきます。価格はオープンで、推定市場価格はEC-AS510が70,000円前後(税別)、EC-AS710が80,000円前後(税別)です。