HPは7月18日~同19日、シンガポールにおいて「HP Imagine 2018」を開催し、日本や中国、オーストラリア、インド、タイ、ベトナムなどから230人が参加した。

同イベントは、ユーザーの体験が重要視される時代を迎え、デジタルディスラプション(デジタルテクノロジーによる創造的な破壊)の中で、どのようにユーザーの体験を向上させていくのかがテーマだ。

冒頭、HP Asia Pacific & Japan PresidentのRichard Bailey氏は「体験型の時代において多様なテクノロジーが伝統的なビジネスモデルを破壊している。そのような状況をビジネスチャンスと捉え、ユーザーの体験を向上していくことに取り組む必要がある。企業の戦略は加速度的に変化し、AIと自動化はビジネスモデルを変革するほか、AR、VR、3Dなどはデザイン、学習、生産、遊び方を変えている」と述べた。

  • HP Asia Pacific & Japan PresidentのRichard Bailey氏

    HP Asia Pacific & Japan PresidentのRichard Bailey氏

しかし、年々テクノロジーの信頼が増すにつれ、データやプライバシーについて再考しなければならない。企業でディスラプションを進めていく中で、経営層がどのような形で先頭に立つのか考える必要があり、どのようにユーザーの体験向上を図るかということも考えなければならないという。

また、技術の進歩に伴い、政府・企業はサービスの向上が求められており、特にAPJ地域ではスマートシティやイノベーションのアクティビティ、デジタル化が進んでおり、企業の大中小問わず、いかにデジタル化を図り、価値を提供していくかがポイントとなる。

そのような状況を踏まえ、同氏は「現状でユーザーは何も変化していないが、ユーザーに価値をもたらすということが肝要だ。ミレニアル世代の個人消費は体験を非常に重要視しており、体験型のサービスは購買意欲にかかわる。多様性のある消費パターンを理解することで、これからの時代を理解することができる。そして、人々は体験に価値を置いているため、われわれのビジネスも変化していく必要がある」と強調する。

企業がビジネスを変化していくためには「どのような楽しみがあるのか」「どのように体験を共有していくか」の2つの要素を軸にユーザーとの関係性を熟考し、仕事やライフスタイル、プライベートの時間などに、技術を融合することで「体験を得るまでのユーザーの道のり」を理解する必要があるという。

これまでにもUberやAirbnbなどのデジタルディスラプターは登場しているが、Bailey氏はインドネシアのスタートアップ企業であるGo-Jekの取り組みを最近のデジタルディスラプションの一例として挙げていた。

  • Go-Jek

    Bailey氏はGo-Jekを取り上げていた

同社はバイク配車サービスから事業をスタートし、現在ではランチやディナーのデリバリ、買い物代行、マッサージ師、美容師の派遣など、そのほかのビジネスにも幅を広げ、インドネシアではスーパーアプリとして認知されている。大きな特徴はマルチサービスを提供している点であり、日々さまざまな問題に直面している人々に対し、Go-Jekはユーザーに楽しみと体験の共有を提供している。

同氏はGo-Jekについて「多角的にサービスを提供することでユーザーの体験を向上させるとともに課題を解決することに、成功したと言える例だろう。ユーザーを中心に置いた体験とサービスを提供している。企業は、どのようにユーザーの体験が進化していくかということを考える必要があり、さらに価値を提供することで進化が求められる」と、説明する。

そして、Bailey氏は「変化のスピードは目覚ましいものではあるが、変化というのはビジネスチャンスであることを忘れないでほしい。メガトレンドを理解した上で生産性の向上を図り、価値を提供する。ユーザーの体験向上を図ってもらいたいと考えており、われわれはディスラプションに挑戦することを支援するソリューションを揃えている」と語っていた。