説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『メモリが増えればiPhoneは速くなるの?』という質問に答えます。

***

メモリが増えればiPhoneは速くなるかどうか……その質問の前に、「メモリ」という用語についていまいちど説明させてください。

スマートフォンにおける「メモリ(RAM)」とは、アプリやシステムプログラムの作業領域として利用される記憶装置です。高速にデータを読み書きできますが、電源をオフにすると消去されてしまうため、データの長期保存用には使われません。プログラムの実行を担う役割のCPUが"頭脳"だとすると、作業用の図面やノートを広げておく"机"といったところでしょうか。

Apple A○シリーズを含め、スマートフォン向けSoCのほとんどはメモリを内蔵しています。SoCと一体化されていますから、メモリだけの増設/交換はできません。つまり、iPhone本体を更新しないかぎりメモリを増やすことはできず、購入時点のまま使い続けることになります。

歴代のiPhoneは、アプリの高度化/多機能化を背景に、メモリ容量を増やす傾向にあります。iPhone 3Gは128MB(メガバイト)でしたが、iPhone 4では512MBに、iPhone 5では1GB(ギガバイト、1GB=1000MB)に増えています。iPhone 6sでは2GB、最新モデルのiPhone Xでは3GBですから、iPhoneの高性能化を支える要素と言っていいでしょう。

メモリが増えればiPhoneは速くなるかとのご質問ですが、SoCごと更新しなければならないスマートフォンの場合、メモリ容量だけで速度を測定するのは困難です。メモリ容量が大きいほど"机"が広がりますから、システム/アプリの処理効率が向上しパフォーマンスにはプラスに作用するものの、容量に正比例してスピードアップするわけではありません。

もっとも、今後登場するiPhoneでメモリの増量が図られるとすると、より演算性能の高いSoCで実現されるでしょうから、全体の処理速度が向上することは確実と考えられます。iPhone 5sに採用された「Apple A7」以降プロセッサは64ビットとなり、4GB以上のメモリ空間にアクセスできるので、性能をフルに発揮できるよう4GB以上のメモリが搭載される日も遠くはなさそうです。

  • メモリ容量はiPhoneのパフォーマンスに影響しますが、容量に正比例してスピードアップするわけではありません