デュアルカメラを利用することで、これまでは静止画の最高ISO感度はISO12800、動画の最高ISO感度はISO4000だったところ、Xperia XZ2 Premiumは静止画が最高ISO51200、動画が最高ISO12800まで拡張できるようになりました。

  • こうした仕組みにより、旧機種に対して4倍もの高感度を実現しました

最高ISO感度の拡張によるメリットは、単に「より暗いシーンでも撮影できるようになる」だけではありません。同じISO感度でも、従来機種よりもノイズ量が低減されるのです。高野氏によれば、その効果は約2段分。つまり、Xperia XZ2 Premiumを使ってISO6400で撮影した場合、旧機種のXperia XZ1のISO1600程度のノイズ量に抑えられるということです。

  • 画質比較を見てみると、高感度時だけではなく低感度時も画質が向上しているようです。ただし、これはデュアルカメラの効果ではないそう。高感度時のノイズ量は約2段分の効果が出ているとしています

そのため、従来よりも高感度撮影がより気軽にできようになります。Snapdragon 845のISPの高性能化にともなって基本的な画質が向上したことに加え、BIONZの進化や画像処理の改良を進めたことで低感度時の画質も向上していますが、やはり特に高感度時の画質改善が期待できるそうです。

  • 実際の作例。ISO20000、ISO51200という高感度により、肉眼以上の明るさで撮影できています

肉眼ではほとんど見えない夜間の遠くの被写体が撮影できるなど、従来は撮影できなかったようなシーンも撮影できるようになったことも、Xperia XZ2 Premiumの大きなメリットです。もちろん、それなりにノイズは発生しますが、真っ暗な写真に仕上がってしまうよりはちゃんと撮れたほうがうれしいはずです。

  • こちらは動画の作例。ノイズがより少なくなっており、画質が向上しています

  • 実際に暗い場所で撮影した動画。これはXperia同士の比較ですが、明らかにより明るく撮影できています

  • 他社製品との比較でも同様です

4K HDR対応ディスプレイを備えたXperia XZ2 Premiumですが、カメラとしても4K HDRの撮影に対応しています。動画の画質を左右する5大要素である解像度、フレームレート、ダイナミックレンジ、色域、階調のうち、ダイナミックレンジはHDRによって、色域はBT.2020によって、階調は10bit対応によって、それぞれ高画質化を実現しています。

動画のHDR撮影は、露光時間が長短で異なる2枚のフレームを合成することで、暗部を明るくして、明部は白トビを抑えることができます。通常は、長短2枚の画像を合成する形になるので動画には使えませんが、Xperia XZ2 Premiumに採用されているメモリ積層型のイメージセンサーのExmor RSセンサーは1フレーム内で長短2つの露光の画像を合成できるので、動画でHDRを可能にしています。

  • 4K HDR動画の仕様はHEVC 10bit HLG BT.2020となっています

  • メモリ積層型のイメージセンサーによって実現したのが4K HDRです。ちなみに、デュアルカメラと4K HDRは併用できません

HEVC形式の10bit HDR動画を撮影できるXperia XZ2 Premiumですが、そのままではYouTubeに公開できません。しかし、YouTubeと協業することで、YouTubeのサーバー上で4K HDR動画のフォーマット変換がなされ、そのままアップロードやストリーミングが可能になっているそうです。

  • 実際のHDR(左)とSDR(右)の違い

  • サーバー上で変換されるため、撮影した4K HDR動画をそのままアップロードできるようになっています

スマートフォンのカメラはデュアルカメラが一般化してきましたが、単に2つのカメラを搭載すればいいわけではなく、さまざまな技術的な工夫が必要となることが分かりました。特に、Xperia XZ2 Premiumは2つのカメラの画像を合成する必要があるため、実現するためのハードルは多かったようです。

高野氏によると、Xperiaは基本的にシングルカメラでの高画質化がベストというスタンスでありますが、今回のXperia XZ2 Premiumは高感度撮影を実現するためのデュアルカメラの採用となりました。とはいえ、せっかくのデュアルカメラなので、今後モノクロセンサーを生かした解像感向上やダイナミックレンジ拡大といった、さらなる機能改善もあり得るでしょう。

もちろん、シングルカメラでの画質追求も求められます。今期に入り、ソニーのカメラチームとの協業をさらに強化したというXperia。その成果が見えてくるのはもう少し先になりそうですが、デュアルカメラを含めたさらなる進化を期待したいところです。