パナソニックが新4K衛星放送に対応する単体4Kチューナー「TU-BUHD100」を発表しました。発売予定時期は今年(2018年)の秋、10月ごろ。本機を購入すると、4K対応テレビで楽しめるようになる新4K衛星放送、その概要も含めて解説しましょう。

  • パナソニックが2018年10月に発売を予定する、新4K衛星放送対応の単体チューナー「TU-BUHD100」(写真は試作機)

現在、4Kテレビで見られる4K映像コンテンツといえば、Ultra HD Blu-rayディスクの映画のほか、スカパー!プレミアムサービスの4Kチャンネル「スカパー!4K総合」「スカパー!4K体験」の番組や、Netflix、ひかりTVなどインターネット動画配信の4K作品。

今年の12月1日からBS・110度CSで始まる新しい4K衛星放送は、専用チューナーを搭載するテレビなどを購入することで見られるようになります。いま多くの家庭が「4Kテレビ」として購入、使用しているテレビも、実は多くの場合、新4K衛星放送については外部4Kチューナー(または搭載機器)の接続が必要になります。パナソニックの4Kチューナーは、同社のVIERAシリーズをはじめとして、新4Kチューナーを搭載しないテレビでも、新4K衛星放送を楽しめるようになるHDMI接続の外付けチューナーです。

  • 新4K衛星放送を視聴するためには、対応するチューナーを内蔵するテレビ、または単体チューナーやセットトップボックスなどをテレビに接続した環境をそろえなければなりません。放送によっては、ほかにもアンテナの交換、受信設備の改修も必要です

新4K衛星放送は2種類の電波で提供されるので、アンテナなど受信システムの対応には注意が必要です。新4K衛星放送には、現在も使われている「右旋円偏波(右旋)」の放送波を使う番組と、新しい「左旋円偏波(左旋)」の放送波で提供される番組があります。

前者の中で2018年12月1日から番組の放送を始めるのは、NHK BS 4K、BS朝日4K、BS-TBS 4K、BSフジ 4K、BSジャパン 4Kの5局。遅れて2019年12月1日から、BS日テレ 4Kがスタートを予定しています。

右旋放送の特長は、BS・110度CS放送に対応するアンテナでそのまま受信できることです。現在、BS・110度CS放送をご覧になっているほとんどの家庭は、集合住宅の場合を含めてチューナー搭載の受像器を購入するだけで、アンテナなど受信システムの交換は不要です。

新しいアンテナ設備が必要なのは?

新しい放送波である左旋を使う新4K衛星放送番組には、映画エンタテインメントチャンネルや4K QVC、ショップチャンネル4Kと、2020年12月1日から始まるWOWOWという4つのチャンネル、およびスカパー!が110度CS放送による8チャンネルを提供予定です。

左旋の新4K番組を視聴する場合は、「BS・110度CS 右左旋共用アンテナ」を新たに準備する必要があります。またアンテナだけでなく、周辺の受信システムもアップデートしなければなりません。

理由は、混合器にブースター、分配器などの受信機器が最大3.2GHzという左旋の高周波信号を受信できない古いもののままだと、電波が外部に漏れて無線LANの通信を妨害したり、4K衛星放送の受信をさまたげてしまうからです。

  • 右旋・左旋それぞれの放送波で提供されるチャンネルと視聴方法については、A-PABが詳しい情報を提供しています

各家庭において、受信システムの電波漏洩対策にかかる費用については、国の助成金制度による補助が受けられる場合があります。助成金制度の対象範囲や工事の方法などについて、詳しくはA-PAB(放送サービス高度化推進協会)、または電波漏洩対策コールセンター(TEL:0570-048-068)に訊ねてみてください。

マンションなどの集合住宅で、左旋の新4K衛星放送を視聴する場合にも同じく、共同受信設備のアップデートが必要です。ケーブルテレビの放送サービスも同様ですが、それぞれの詳細は設備管理会社やサービス事業者に放送開始前に確認してみることをおすすめします。

  • 左旋放送を受信するための設備改修については、国の補助金制度を受けられる場合があります

TU-BUHD100を買うと・・・?

今回発表されたパナソニックの4Kチューナー「TU-BUHD100」を購入すると、新4K衛星放送に対応するチューナーを内蔵していないテレビでも、新4K衛星放送の番組を見られるようになります。機器同士の接続はHDMIとなりますが、最大4K/60p入力が可能なHDMI 2.0端子が1つ以上搭載されていて、さらにHDMIの著作権保護規格HDCP 2.2に対応していることがテレビ側の条件になります。

TU-BUHD100は本体がとてもコンパクトなので、現在のテレビを置いているラックの空きスペースを有効に活用して設置できそうです。価格は未定ですが、パナソニックの担当者は「35,000円を切る方向で検討中」としています。新4K衛星放送については、外付けHDDへの録画機能やIPTVコンテンツの視聴機能は搭載していないので、シンプルに導入できるのではないでしょうか。

新4K衛星放送対応のチューナーは今月に入ってシャープが新製品を発表したほか、東芝は専用のドングルを装着して新4K衛星放送が見られるようになるREGZAの2018年モデルを「BM620X」「M520X」の2シリーズから販売スタートしています。

ほかにも年末にかけて、国内のテレビメーカーが新4K衛星放送の受信に対応するテレビやチューナーを発売することを予告しています。テレビごと買い換えるのか、または現在使っている4K対応テレビにチューナーなど受像器を付け足して見るのか。各家庭で新4K衛星放送の楽しみ方をそろそろ検討してみてはいかがでしょうか。

  • 外付けチューナーはパナソニックやシャープのほかにも国内の様々なメーカーが商品化の意向を発表しています