現在、企業が事業戦略を策定する上で、データ主導による意思決定が大きな役割を果たしている。それにもかかわらず、多くの企業はデータの管理、保護、活用に苦労している。

一方、今年5月25日よりEUのGDPR(一般データ保護規則)が施行され、FacebookとGoogleに対し、早速提訴が行われた。違反すれば最大で世界売上高の4%または2000万ユーロの罰金の厳しさで話題を呼んでいたGDPRだが、一般企業も油断できない状況になってきた。

このようにデータ保護に対する規制が厳しくなり、費用効果の高いコンプライアンスが求められている中で、これまでにないほどデータ保護/活用の取り組みは重要になっている。

データの保護と同時に、データ主導型決定のビジネスを実現する手段の1つに「インフラのモダナイゼーション」がある。昨今、デジタルトランスフォーメーションの実現という観点からも、インフラのモダナイゼーションが注目を集めている。既存のインフラだけでは、デジタルビジネスを創出するのが難しくなってきているからだ。

そこで以下、インフラのモダナイゼーションを成功に導くための鍵となる5つのポイントを紹介する。

持っているデータを知ること、そして、集約すること 

企業が多くの新しいテクノロジーを活用している事実とは裏腹に、どのようなデータを持ち、それがどこにあり、どのように利用されているかを把握することは非常に困難である。

しかし、業務に必要とされるデータを識別し、その保管場所を特定して、企業が持つデータに関する情報を一元的に管理することは、インフラのモダナイゼーションを効果的に実現するための最初の一歩となる。

柔軟性と敏捷性を持ったインフラの構築 

ガートナーによれば、企業における年間のIT予算のうち2000億ドル以上が、今後2年のうちにクラウド関連に移行すると予測されている。企業は、仮想化や新たなクラウド技術への移行について、よりスピーディーな対応を求められるようになるだろう。

加えて、それらインフラが持つデータを自由に迅速に利用するために、企業は特定のインフラやベンダーに縛られることなく、柔軟で俊敏なデータ インフラを確実に構築していく必要がある。

すべての作業を自動化したオペレーション

運用/管理に関わるオペレーションはシンプルであるべきだ。究極的には、企業のデータ管理・保護・運用は自動化のレベルまで到達する必要がある。自動化はソフトウェアに組み込まれたAIや機械学習の利用により、次第に達成されつつある。これにより、 IT管理者の負荷が軽減され、事業戦略や開発に関するITにフォーカスできるようになる。

スケールアウト可能なシステム環境の構築

企業はサイロ化されたシステムから脱却し、よりシームレスなソフトウェア・デファインドなシステムに移行する必要がある。最近は、サーバの仮想化に加え、SDS(Software Defined Storage)、SDN(Software Defined Network)といった、ソフトウェア・ベースのインフラの導入が進んでいる。

われわれは、Software Definedかつスケールアウト型のデータ管理ソリューション「Commvault HyperScale」を提供している。このソリューションは、耐障害性、敏捷性、拡張性に優れたセカンダリ ストレージプールを作り、従来のバックアップ専用アプライアンスを置き換えることができる。

変化に適応できる組織

市場の変化に合わせ、組織には迅速な戦略および意思決定が求められている。そして、企業のデータを統合し、戦略策定に有効に反映していくには、インフラのモダナイゼーションに向けて明確かつ現実的な道筋を持ち、実現に向けて着実に推し進めていくことが重要となっている。

メイン システムからセカンダリ ストレージまで、データ主導の意思決定を可能にするインフラのモダナイゼーションは、将来の事業成功において不可欠である。企業におけるデータ管理/保護/運用を簡略化かつ自動化することは、データを価値のある資産にするための最初のステップとなる。

著者プロフィール

伊吹山 正郁(いぶきやま まさふみ)

Commvault Systems Japan 株式会社

セールス エンジニアリング プリンシパル システム エンジニア

2017年3月にCommvault Systemsに入社。ソリューションの訴求、認知度向上に努める。IT ベンチャーでの駆け出し時代、初めてバックアップソフトウェアに触れ感銘を受け、それ以来、14年以上にわたり、エンタープライズ向けデータ保護・管理ソリューションの販売拡大・認知度向上に携わる。
Commvault に入社する以前はベリタステクノロジーズにて、さまざまなデータ保護・管理ソリューションを通じ、多くの新規ビジネスの立ち上げや拡大に貢献。