iOS 12の新機能で驚かされたのは、FaceTimeの大幅な進化だ。これまで一対一でしか利用できなかったが、iOS 12では一挙に32人のグループFaceTimeをサポートするようになる。iMessageのグループチャットからFaceTimeを開始でき、誘われても参加しない、もしくは途中で退室するのも可能だ。

  • FaceTimeには新たに32人で同じ通話ができるGroup FaceTimeが用意された。喋っている人が自動的に大きく表示される仕組みを備え、多人数での会話を円滑にすすめられる

最大32人で利用するシチュエーションを思い浮かべるのはなかなか難しい。家族で使うことが多くても、たいていの場合、一対一のFaceTimeで事足りてしまっていたからだ。別々の場所に住んでいる家族同士でFaceTimeを行うといっても、日常的に使うかどうかは微妙なところだ。

ただし、教育機関やオフィスに目を向けると、話は変わってくるかもしれない。例えばクラス全員がグループFaceTimeでつながり、学校内や屋外の離れた場所で先生の話を聞いたり、その場所で見つけたものを報告する、といった手段に利用できそうだ。また企業の会議をグループFaceTimeで行うアイディアも悪くない。

グループFaceTimeでは、発言している人の映像が自動的に大きく表示される仕組みとなっている。また、FaceTimeの自分の映像にリアルタイムでエフェクトをかけたり、自分の首から上をアニ文字やMemojiに置き換えることも可能となる。当然リアルタイムで表情や動きをトラッキングし続けてくれるため、アバターをFaceTimeの会話に参加させらるようになる。

デモではTim Cook CEOのMemojiも登場し、若干若々しく演出されていたのが気にはなったが、顔の位置や表情をきちんと反映して会話を自然にこなしていたのが印象的だった。

  • Memojiを合成してグループFaceTimeに参加することもできる。一番上はTim Cook CEOのMemoji

AppleのARプラットホームは2年目を迎えるが、アプリの実行環境、コンテンツ制作環境ともに、着実に進化を遂げ、また開発者やクリエイターの裾野を広げつつある。なんらかの形でARを必ず毎日活用する未来は、すぐそこまで来ている。

松村太郎(まつむらたろう)


1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura