英ArmはComputex開催前日となる6月4日に、台北にてPress Conferenceを開催。Cortex-A76/Mali-G76/Mali-V76のIP Suiteを発表した。これについては5月31日に発表されているし、サンフランシスコでもWorkshopが開催されているのだが、広く発表されたという意味では今回が初となる。そんなわけで、台北で行われたPress Conferenceとラウンドテーブルの内容をお届けしたい(Photo01)。
成長するモバイルゲーミング市場を見据えた新製品
まずは発表会の内容から。同社のIPを搭載した製品はすでに1200億個出荷されており、マーケットシェアは39%に達するとしている(Photo02)。
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Photo02:別の資料では、同社のIPを搭載した製品は全世界の70%の人に使ってもらっている、という数字もあった。ちなみに出荷数量にはCortex-MやCortex-Rを利用した組み込み向けや、それ以前のARM 7/9/11を搭載したものも含んでの数字と思われる
この中でも稼ぎ頭というか同社にとって大きなマーケットはMobile/Consumer向け製品で、ここのTAMは2026年には770億ドルに達する、と推定されている(Photo03)。その中でも成長著しい、と推定されているのがMobile Gamingのマーケットだ、というのが氏の説明である(Photo04)。
今回のComputexでもASUSからゲーミングスマートフォンとして、ROG Phoneがなんてもの発表されるあたり、このマーケットが急速に伸びつつあるのは間違いない。
こうしたマーケット動向をにらんで、同社が2019年のPremium Mobile向けとして提供するのが今回の3つのIPということになる(Photo05)。いずれもハイエンド向けという位置付けだ。
機械学習のパフォーマンスが前世代比で4倍
まずはProcessorのCortex-A76について。Cortex-A76は、Cirtex-A75と比べても35%もの性能向上を果たした製品、とされる(Photo06)。具体的には35%の性能改善と40%の性能/消費電力比改善が果たされているほか、ML(要するにDNNの処理)の性能が4倍になっている。
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Photo07:性能は当然動作周波数にも関係してくるが、10nmのCortex-A75が2.8GHz駆動、7nmのCortex-A76が3GHz駆動なので、IPCという観点でも3割ほど改善している計算になる
なぜ4倍にもなるのか、という話は後述するとして、これを7nm世代で実現するのがCortex-A76だ。Cortex-A76はDynamIQ対応なので、当然Cortex-A55との組み合わせでbig.LITTLEを構成する形になるが、これにともないCortex-A55のL2容量も増加することになったそうだ(Photo08)。
この結果として、Single Thread Performanceとbig.LITTLEのトータルパフォーマンスの両方とも、Cortex-A73世代比で2倍ほどになったという(Photo09)。