イスラエルのウルフ財団は5月31日にウルフ賞の授賞式をエルサレムで開き、化学部門の賞を藤田誠・東京大学大学院工学系研究科教授に授与した。ウルフ賞はノーベル賞受賞を占うとも言われ、国際的に権威がある。米カリフォルニア大学バークレー校のオマー・ヤギー教授との共同受賞で、化学部門を受賞した日本人は2001年の野依良治氏(名古屋大学特別教授、科学技術振興機構〈JST〉研究開発戦略センター長)以来2人目。

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    写真 藤田誠教授(クレジット・JST/JST-ACCELプロジェクトサイトから)

藤田教授は1982年に千葉大学大学院工学研究科修士課程修了。同大学助教授、名古屋大学教授などを経て2002年から現職。東京大学やJSTによると、「金属が誘起する自己集合原理の創出と巨大中空物質構築への展開」の業績が認められた。小さな分子が金属イオンに誘導されて自発的に集まって特殊な構造(超分子構造)を作る「自己組織化」と呼ばれる現象を駆使して多様な形体をした分子を合成する手法を考案。複雑な分子、ナノ構造の新材料などの開発に道を開いたという。

藤田教授は現在、JST戦略的創造研究推進事業ACCEL「自己組織化技術に立脚した革新的分子構造解析」プロジェクトの研究代表者を務めている。

ウルフ賞には化学のほか、医学、物理学、数学、農業、芸術の6部門があり、過去の受賞者は後にノーベル賞を受賞することが多いため、ノーベル賞受賞の行方を占うとして毎年受章者が注目される。日本人では野依氏のほか、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長(2011年、医学部門)や小柴昌俊・東京大特別栄誉教授(2000年、物理学部門)らが受賞している。

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