東京商工リサーチは5月29日、2017年に決算で1億円以上の役員報酬を開示した上場企業に関する調査の結果を発表した。同調査は、全証券取引所の上場企業3700社を対象に、有価証券報告書から役員報酬1億円以上を個別開示した企業を集計したもの。上場区分は2018年5月14日時点。

これによると、開示企業の社数は335社(前年310社)、1億円以上の役員報酬を得た人数は627人(557人)で、いずれも前年を上回り、最多記録を更新したという。

2017年に役員報酬1億円以上を開示した627人の役員報酬総額は1326億5400万円(前年比8.8%増)で、前年(557人、1219億1000万円)より107億4400万円増加した。

役員報酬の主な内訳は、基本報酬が618億5300万円(構成比46.6%)、賞与が247億5,700万円 (同18.6%)、ストックオプションが107億4,600万円(同8.1%)、退職慰労金(引当金繰入額 含む)が89億3,400万円(同6.7%)だった。

開示人数の最多は三菱電機(東証1部)の22人。前年23人から1人減少したが、唯一20人台 を維持したという。これに、伊藤忠商事の11人(前年3人)、ファナックの10人(同11人)、ソニー (同3人)、パナソニック(同1人)が続く。9人は東京エレクトロン(同11人)で、業績改善した 電機関連が上位に名を連ねた。

  • 役員報酬1億円以上開示企業 資料:東京商工リサーチ

役員報酬の最高額は、ソフトバンクグループのニケシュ・アローラ元副社長の103億4600万円だった。前年に自身が記録した過去最高額(64億7,800万円)の1.6倍に達した。同氏は孫正義社長の後継者含みで2014年に入社、2015年6月に代表取締役に就任したが、2016年6月の株主総会で取締役を退任した。報酬はソフトバンクグループと連結会社からで、内訳は基本報酬3億300万円、株式報酬11億9,600万円、退任費用88億4,700万円だった。

これに、ソフトバンクグループのロナルド・フィッシャー副会長が24億2700万円(前年20億9600万円)、セブン&アイ・ホールディングスのジョセフ・マイケル・デピント取締役が18億9,500万円(同21億8,700万円)で続く。

トップ10位のうち7人が外国人で、5位までは外国人が独占した。日本人の最高額は6位セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文元会長の11億3,200万円(前年2億8,200万円)。 これまで役員報酬は、役員退職慰労金(引当金繰入額を含む)が目立ったが、2017年はソフトバンクグループが株式報酬、ソニーが業績連動などで増加し、報酬体系にも変化が見られるという。

  • 役員報酬額トップ30 資料:東京商工リサーチ