カメラ記者クラブは5月21日、「カメラグランプリ2018」の受賞結果を発表しました。カメラグランプリは、この1年間に発売されたカメラや交換レンズのなかから優れた製品を選ぶアワードで、国内のカメラ専門誌の担当記者で構成されるカメラ記者クラブが主催します。栄えある2018年の大賞は、ソニーのフルサイズミラーレス一眼「α9」が受賞しました。

大賞はソニー「α9」が受賞

大賞を獲得したα9は、「積層型CMOSセンサーがもたらす高速読み出しにより、メカシャッターではなく電子シャッターをメインとして使うミラーレスカメラの可能性を示した」「画面の約93%をカバーする693点の像面位相差AFの精度が高いうえ、瞳AFの追従性も優れている」「静止画でも動画でも、このカメラだから撮れる被写体や撮れるシーンがある」「今後のカメラの可能性を感じさせる歴史的な一台」と、選考委員の多くが先進性を高く評価しました。

  • ソニーが2017年5月に発売したフルサイズミラーレス一眼「α9」。ボディ単体モデルの実売価格は税込490,000円前後

レンズ賞はオリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO」が受賞

レンズ賞を受賞したのが、オリンパスの「M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO」。マイクロフォーサーズ規格の単焦点レンズで、高い解像力と大きなボケの両立を目指した同社の開放F1.2シリーズのなかでもっとも広角となるレンズです。「メーカーが真正面から取り組んだボケは、にじむ描写が美しい」「コントラストや解像感が高く、絞り開放から実用的に使える」「卓越した描写を持つ極みの一本」と評価されました。

  • オリンパスが2018年1月に発売したマイクロフォーサーズ用の交換レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO」。実売価格は税込128,000円前後

あなたが選ぶベストカメラ賞とカメラ記者クラブ賞はニコン「D850」が受賞

あなたが選ぶベストカメラ賞とカメラ記者クラブ賞の2つを受賞したのが、ニコンのデジタル一眼レフカメラ「D850」。有効4575万画素のフルサイズセンサーを搭載した高画素モデルながら、ボディ単体で7コマ/秒、マルチパワーバッテリーパック「MB-D18」と追加バッテリーを組み合わせた場合は9コマ/秒の高速撮影が可能な速写性も兼ね備えています。

「すべての面でバランスが取れており、報道やスポーツ、ポートレート、鉄道、風景などジャンルを問わない万能性を持っている」「一眼レフとしての機能と使い勝手を磨き上げ、一眼レフの矜持を見せてくれた」「写真愛好家が憧れる一眼レフに仕上がっている」「光学ファインダーを用いるデジタル一眼レフカメラの完成形」と高い評価を獲得しました。

  • ニコンが2017年9月に発売したフルサイズデジタル一眼レフカメラ「D850」。ボディ単体モデルの実売価格は税込400,000円前後

カメラ記者クラブ賞はパナソニック「LUMIX G9 PRO」が受賞

カメラ記者クラブ賞を受賞したのが、パナソニックのミラーレス一眼「LUMIX G9 PRO」(DC-G9)。マイクロフォーサーズ規格の高性能モデルで、2008年に登場した初代マイクロフォーサーズ機「LUMIX G1」(DMC-G1)から数えて10年目に登場した最上位モデル。写真を撮るという行為に対して細部まで作り込みながら、LUMIXシリーズで定評のある4Kフォト/6Kフォトなどデジタル技術を生かした最新機能を盛り込んでいるのが特徴です。

「高速連写性能やオートフォーカス性能が高く、写真撮影にとって最高峰のカメラ」「作り手が写真にじっくり向き合えるまじめなカメラ」「マイクロフォーサーズ機としての完成度が高い」と評価されました。

  • パナソニックが2018年1月に発売したマイクロフォーサーズ規格のミラーレス一眼「LUMIX G9 PRO」(DC-G9)。実売価格は、ボディ単体モデルが税込215,000円前後、標準ズームライカDGレンズキットが税込295,000円前後

今回、カメラグランプリ2018で特別選考委員を務めたマイナビニュースの阿部求己は、以下のように感想を述べています。

このたび、特別選考委員としてカメラグランプリ2018の選定に関わる貴重な機会に恵まれ、マイナビニュース読者の皆様にオススメしたい機種を念頭に票を投じさせていただきました。弊誌にお声掛けいただきましたカメラ記者クラブの皆様に御礼申し上げます。

さて、大賞の候補としては、ソニーのフルサイズミラーレス機が業界内でも有力視されていましたが、α9、α7R III、α7 IIIと、この1年の間に3機種も投入されたことから、票が分散するとの予想も立っていました。結果として、α9が受賞しましたが、これを酒の肴に一晩語り明かせそうなくらい、選考委員それぞれ、ユーザーそれぞれの視点があるのではないでしょうか。

こういったカメラの好みの多様性が業界発展のエネルギーとなり、2018-2019年もより素晴らしい製品が生まれてくることを期待します。