とはいえ、いいことばかりではありません。EOS Kiss X9と比べると性能が低下した部分もあります。なかでも残念なのは、撮影可能枚数が減ったことです。

EOS Kiss X9はバッテリーに「LP-E17」を採用し、ストロボ撮影なしでの撮影可能枚数は、ファインダー撮影時で約840枚、ライブビュー撮影時で約290枚を誇ります。いっぽう、EOS Kiss Mのバッテリーは「LP-E12」で、ストロボ撮影なしでの撮影可能枚数は、ファインダー撮影/液晶モニター撮影ともに約235枚。少々心許ない枚数です。

実際の使用でも、たくさんの枚数を撮る私にとっては丸1日の撮影には不十分であり、途中で予備バッテリーへの交換が必要でした。

  • EOS Kiss X9(左)のバッテリーは「LP-E17」(7.2V、1040mAh)。EOS Kiss M(右)のバッテリーは「LP-E12」(7.2V、875mAh)。どちらもUSB充電には対応せず、充電は専用チャージャーを使わなければならない

  • バッテリー節約のためにはオートパワーオフ機能をきっちり設定しておきたい。EOS Kiss M(右)では、本体電源の自動オフのほか、液晶モニターや電子ファインダーの自動オフも個別に設定可能になっている

また、EOS Kiss X9にあったリモコン端子が、EOS Kiss Mでは省かれている点も残念です。もっとも、オプションとして用意されるBluetoothのワイヤレスリモコンやスマホでのリモートシャッターは引き続き使えますので、一般的な撮影では特に困ることはないでしょう。

ただ、個人的には、星空などの比較明合成用の素材を長時間露光で撮る際、ドライブモードを連写にしてケーブルレリーズでロックするという使い方をしているため、有線のリモコンが欠かせないのです。また、サードパーティ製の無線シャッター機器を使う際もリモコン端子が必要になります。

  • EOS Kiss X9(左)は側面にマイク端子とリモコン端子を装備。EOS Kiss M(右)はマイク端子のみとなる。端子カバーの開閉が硬い点も気になる

拡張性については、交換レンズの充実度でEOS Kiss X9のほうが有利といえます。EOS Kiss X9は、15本のEF-Sレンズと膨大な数のEFレンズが使用できますが、EOS Kiss Mの専用レンズであるEF-Mレンズは今のところ6製品と少なめだからです。

もっとも、EOS Kiss Mは別売のマウントアダプター「EF-EOS M」を利用すればEF/EF-Sレンズも使用可能になります。アダプターも含めて考えれば、特に不利というわけではありません。