伊藤園は新商品「お~いお茶 新緑」を5月1日より発売する。「お~いお茶」ブランドの単なる派生商品のひとつと捉えるべきではなく、市場ニーズの変化を捉えた戦略的商品と考えたほうがよさそうだ。

  • 写真左:女優の久保田紗友さん、写真右:伊藤園の社三雄マーケティング本部長

伊藤園が力を入れる期待のお茶

「お~いお茶 新緑」は国産一番茶を100%使用した緑茶飲料。一番茶とは、その年に初めて摘まれた茶葉のこと。香りや旨み成分が豊富に含まれている。さらに凍結した茶葉を一部使用し、できる限り熱を加えずに低温抽出することで、茶葉の持つ旨みを引き出し、渋みや苦味を抑えている。

  • 5月1日から発売される「お~いお茶 新緑」。希望小売価格は140円(税別)

実際に口にすると、苦味と渋みが感じられず、お茶の味はあるものの水を飲むような感覚を覚え、「お茶フレーバーのミネラルウォーター」ともいえるような不思議なお茶だ。

伊藤園では、5月1日より全国で発売。女優の久保田紗友さんが出演するテレビCM放映のほか、交通広告、ウェブ広告、大規模サンプリングなどを行い、大々的に売り出していく。本来ならば「お~いお茶」ブランドの派生商品のひとつとも考えられるが、その割に気合が入っている印象だ。

その理由は、新たな顧客獲得として期待されている商品だからだ。そもそも緑茶飲料の購買層は男性が65%、女性が35%。女性層への普及には課題を抱えていた。今回の新緑は、若年層ほか、この女性を中核ターゲットとした商品となる。女性からの支持を得るために、伊藤園はニーズを分析、それを新緑に反映させた。

伊藤園が注目したのは社会情勢の変化だ。女性の社会進出がさらに進み、結果として働く女性のうち81%が日常的にストレスを感じているという。こうした女性から求められるニーズを言葉にすると「フレッシュ」「ナチュラル」「リフレッシュ」などとなり、まとめると「さわやかさ」が求めているようだ。

一番茶をもちいて、苦味や渋みをおさえ、ボトルデザインなど持ちやすさにも配慮、女性ファン獲得のために、新緑にそうした価値観を詰め込んだというわけだ。

  • 女性が求めるお茶への価値

社三雄マーケティング本部長は「飲料、小売、そのほかの業界にも大きな影響を与えると思う。これから先、働いている女性から新しい市場が生まれてくる」と分析しており、女性へ広がりが重要になると見ている。新緑はこれまで課題を残してきた女性層への再挑戦であり、今後、ますます重視される女性のニーズを汲み取れるか否かの試金石と言えそうだ。売れ行きが気になるところだ。