東京医科歯科大学(TMDU)と日立製作所(以下、日立)は、「TMDU オープンイノベーション制度」に基づく連携協定を締結し、2018年度より、難病診断支援を中心に、医療・健康分野における研究開発や事業および人材の教育や育成などに関する取組みを、戦略的かつ柔軟に実施していくと発表した。

今回の連携は、「TMDU オープンイノベーション制度」による最初の取り組みとなるもの。大学の研究開発能力などを活用する「オープンイノベーション型」の産学連携が提唱されている中で、政府の成長戦略でも産業界から大学への積極的な投資が推奨されている。東京医科歯科大学は、これまで複数の企業との間で「包括的な連携関係」の構築に取り組んできた経験や実績を踏まえ、2017年度に、企業との「連携の方向性」や「研究の進捗管理」について、より組織的・戦略的に関与する同制度を発足させたという。

今回の連携の戦略的な目標としては、「難病診断支援技術の体系化により、医療の高度化・効率化をめざす」を掲げている。その背景として、診断や治療が困難な疾患(難病)の一定数が、いわゆる「一般的な疾患」の中に紛れ込み、必要以上の検査を受けている、あるいは効果が期待できない(患者のQOL向上につながらない)投薬や治療を受けており、医療費増大の一因となっているということがある。こうした難病のうち一定数以上の患者が存在する疾患を早期に的確に診断することができれば、医療経済上の効果が大きいと考えられるという。また、難病診断に関わる知見を人工知能(AI)やICTも活用して体系化することや、診断を支援する医療機器などを開発することは、これらの疾患に関する新薬や新規治療技術などの開発に戦略的・集中的に取り組むことにつながるということだ。

東京医科歯科大学は、多数の臨床機関とのネットワークの下、難病などに関する最新・最先端の知見を数多く有している。一方、日立は、画像診断装置や放射線治療システムなどの医療機器、医療情報システム、ITを活用した医療サービスなどに関する数多くの強みを有している。今回の連携では、両者のこうした強みを活かし、臨床と開発が一体となった体制の構築につながるものと考えているということだ。