ムダに思える工夫

ここまででお分かりだろうが、採算を考えれば、ムダに見えることが多々ある。それがBAKEだ。パッケージデザイン、ロゴ、店舗デザイン、ひいてはウェブサイトでの見せ方まで、顧客と接するすべての点に時間とお金をかけるのがBAKE流。これらは直接的な収益に結びつかない。しかし、BAKEらしさはここから生まれている。ミッションステートメントの実践こそが、短期間で急成長を遂げた理由となるだろう。

BAKEの成功が示唆することは多くの企業にとって興味深いものだ。そもそも、BAKEが出すブランドはチーズタルトやアップルパイ、誰もが聞いたことのあるものばかり。おいしさだけでは勝てないが、付加価値を加えることで、競合の多い分野でも勝ち続けることができる。

今後も年に1、2ブランドを増やしていく考えだが、「ブランド選定に関して8割主義を大事にしている。10人いたら8人が好きであろう、マーケットの大きいものを選ぶようにする」(西尾代表)とし、付加価値のあり方でビジネス拡大が可能だと判断しているのだ。

発展の方向性も明確だ。「お菓子作りに真摯に向き合おうという原則は変えません。やっていくのは、付加価値にあたる部分への再投資。たとえばパッケージをさらに魅力的にするなどの投資を積極的にやっていきたい。広い意味でのデザインには可能性を感じています」(西尾代表)。