おいしさの追求

BAKEが掲げる「お菓子を、進化させる」とは、単においしさの追求のみならず、作り方、見せ方、届け方といった顧客と接する全プロセスに力を入れていくという宣言のことだ。おいしさの追求とそれ以外の部分に分けて、もう少し詳しくみていこう。

  • BAKEのミッションステートメント

おいしさの追求では、原材料にこだわり、手間をかけ、フレッシュな状態で世界中のひとりでも多くの人に届けるというおいしさの3原則を掲げている。

質の高い原料を大量に仕入れるために「FARM TO SHOP」という考えを取り入れ、直接、生産者と関係を構築する取り組みを進めている。工房一体型のショップでつくり、一番おいしい状態で商品を提供するために、作り置きもしない。採算性は下がるが、これがBAKE流なのだ。

もうひとつ面白いのが、1ブランド1商品という戦略だ。BAKEには8ブランドあるが、それぞれのブランドには基幹商品が1本あるのみ。売れなかったときのリスクは高いが、1商品に絞り込むことで品質を高めることができ、効率的な店舗オペレーションが実践できるという。

カスタマーエクスペリエンスを大事に

おいしさ以外の面でも手を抜かない。簡単に言えば「カスタマーエクスペリエンスの向上」に集約される。「商品の購入前から、購入後までの体験にワクワクをお届けしたい」(西尾代表)という。

BAKEの商品を買おうとすれば、西尾代表の言うワクワクが実感できるかもしれない。ショップに行けば、工房一体型であることが見て取れる。手提げ袋や商品を収めるパッケージにアートワークをきかせており、「買ってよかった」と思わせる工夫を細部まで施す。ウェブサイトも商品特性を感じてもらえるように、ビジュアルやコピーにもこだわる。

  • 工房一体型で製造工程を見ることができる

  • BAKE CHEESE TARTEの手提げ袋。持ち手が非常に持ちやすい

  • パッケージのアートワークにも力を入れているという

先日行なわれた新ブランド発表会の場でも、ブランドコンセプト、ロゴ、パッケージデザイン、ストアデザインへの説明に時間が多く割かれ、もはや製菓会社の発表会なのか、何なのか、わからなくなるほど。製菓会社がカスタマーエクスペリエンスの向上に真剣に取り組んでいるという事実が違和感の正体であり、それがBAKEらしさでもある。