IDC Japanは4月19日、ウェアラブルデバイスの2022年までの国内/世界出荷台数予測を発表した。

グローバルの傾向

同社が発行する「Worldwide Quarterly Wearable Device Tracker」のデータによると、2017年には1億3290万台だったウェアラブルデバイスの出荷台数は、2022年には2億1940万台に成長し、年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は13.4%と二桁成長が続くと予測している。

腕時計型やリストバンド型が注目される一方、他の形状のウェアラブルデバイスは2022年までの予測期間中にシェアを拡大するが、限定的なものになると指摘。

耳掛け型と靴・衣類型はその中でも成長が見込まれ、成長速度は遅いがヘッドフォン、およびアスリートや作業者向けのセンサ付きウェアに搭載することで不可欠なものになるという。

カテゴリー別では腕時計型、リストバンド型、耳掛け型、靴・衣類型、そのほかに分類し、分析。腕時計型は2017年に出荷されたスマートウォッチの半数以上はアップルが占め、同社は同カテゴリーで主導権を維持し続けるものの、Fitbit、Garmin、およびほかのすべてのWear OS(旧Android Wear)製品が競合として存在している。

同カテゴリー内では子供向けのスマートウォッチも成長を続けており、製品カテゴリーは主に中国向けとなり、スマートウォッチは平均販売価格が最も高いと予測され、金額ベースでウェアラブル市場全体の2/3以上を占めると予測している。

また、ベーシックタイプは新たなベンダーが市場に参入し、デザインもファッショナブルなものに洗練されるため、予測期間中のCAGRは16.4%に達すると予測。しかし、多くの消費者はベーシックタイプのデバイスをウェアラブルデバイスというよりも腕時計と見なしているため、スマートウォッチを追いかける立場には変わりはないと推測している。

リストバンド型は低コスト、かつコモディティ化されており、新興市場での地位を維持し続けると想定。2022年に出荷されるすべてのウェアラブル製品の22%を占め、2018年の36%からは減少すると見込まれている。これらのデバイスの使いやすさと全体的なアクセシビリティは、そのほかのウェアラブル製品へのスターターデバイスとして位置づけている。

耳掛け型は2022年末までに1330万台を出荷し、2018年~2022年のCAGRは48.0%。スマート音声対応アシスタント、クアルコムなどのチップメーカーのハードウェア開発、およびワイヤレスヘッドフォンの普及に伴い、これらのフォームファクターがリストバンドや腕時計型に次いで人気があると予測している。

靴・衣類型は、2022年までに2017年のシェア2%から5.3%に拡大。現状では一般的な消費者を対象としたLi-NingやUnder Armorなどの万歩計シューズに限られている。しかし、今後はアスリートや、危険な環境にある現場作業員をターゲットにしたニッチブランドが同市場を牽引すると想定。

そのほかでは、Museのヘッドバンドやスマートリストバンド(サードパーティーのアプリケーションを実行できるもの)のような身体のさまざまな部分にクリップできるデバイスが分類される。多くはあまり知られていないため、マスマーケット向けではなく、特殊なニーズに対応することで、収益を上げるビジネスになる可能性があるという。

  • 世界ウェアラブルデバイスタイプ別出荷台数予測および年間平均成長率(CAGR)、2018年~2022年(単位:百万台)

    世界ウェアラブルデバイスタイプ別出荷台数予測および年間平均成長率(CAGR)、2018年~2022年(単位:百万台)

日本市場の予測

また、Worldwide Quarterly Wearable Device Trackerでは、日本国内のウェアラブルデバイスの出荷予測も提供している。同Trackerによると、日本市場の2022年の年間出荷台数は合計110万台と予測されており、タイプ別ででは腕時計型が2022年は合計71万台と市場の大半を占め、堅調な市場の形成が見込まれている。

  • 国内ウェアラブルデバイスタイプ別出荷台数予測および年間平均成長率(CAGR)、2018年~2022年(単位:万台)

    国内ウェアラブルデバイスタイプ別出荷台数予測および年間平均成長率(CAGR)、2018年~2022年(単位:万台)

IDC Japan PC, 携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの菅原啓氏は「米国などから1年以上の遅れにはなるが、リストバンド型デバイスを貸与・配布するなどして従業員の健康増進を図るケースが日本国内でも増えてきており、ようやくウェアラブルデバイスを積極的に活用しようという機運がビジネス領域でも立ち上がりつつある」とコメント。

そして「しかし、他方、コンシューマ市場での市場拡大の契機となる要素は依然として乏しいのが現状であり、実用面はもちろんのことエンターテインメント用途など幅広いフィールドでウェアラブルデバイスを活用できる可能性をユーザーと共に探究し、拡大していく必要がある」と述べている。