日本マイクロソフトは4月18日に、パブリックセクター事業に関するプレス向けの説明会を開催し、同社の取り組みについて紹介した。

パブリックセクターは、「政府・自治体」「教育」「ヘルスケア」領域を対象に、同社の持っているクラウドやAI、MRといったインテリジェントテクノロジーを活用することで、日本政府の提唱する超スマート社会"Society 5.0"の実現に貢献することを目指す事業本部だ。

  • 超スマート社会とは

    超スマート社会とは

日本マイクロソフト 執行役員 常務 パブリックセクター事業本部長に就任した佐藤知成氏は「パブリックセクターは、人が生まれてから高齢者になるまで、ライフステージのすべてにおいて関わりのある事業。また、WindowsやOfficeなど、マイクロソフトのサービスは、生活をしていく中でほとんどの人が関りを持つほどまで浸透しています。人の一生に寄り添える立場にいる我々には、社会変革をしていく使命があると感じていますね」と、同社がパブリックセクターに取り組む社会的な意義を述べた。

  • 日本マイクロソフト 執行役員 常務 パブリックセクター事業本部長の佐藤知成氏

    日本マイクロソフト 執行役員 常務 パブリックセクター事業本部長の佐藤知成氏

同社ではすでに「ウーマンテレワーク体験プログラム」や、佐賀県多久市の「児童生徒の学び方と教職員の働き方改革」、熊本市の「時間や場所にとらわれない市民サービスの提供」などの取り組みを実施している。今後は、グローバルにネットワークを持つ同社が推進している世界各国の社会変革事例をもとに、日本の社会にも適用していく予定だ。

それらを実行していくための方法論として、同社では2018年5月から「デザインシンキングアプローチ」を開始する。

「デザインシンキングとは、IT技術を活用しながら、非常に短いスパンで人の生活をよりよくしていくための課題を解決していくという考え方です。デザインシンキングをもとに話し合いを繰り返した結果、今後の方針として、まずは我々が活動自体を変革させていかなければならないと感じました」と、佐藤氏。

そこで、同社は、事業部内に「デザインジャパン推進室」を設立。協創人材の派遣やコンサルティングサービスによるベストプラクティスの展開を通じて、社会のデジタルトランスフォーメーションを支援していく。

活動の一環として、同社は品川オフィス内にアイデアを創出する専門ルームを設置した。新しいアイデアを出すためには、一般的な職場環境と異なる雰囲気の中で考えることが必要なのだという。専門ルームには、会議室でよく見かける「横長のデスク」などは存在せず、自由に動きながらホワイトボードやディスプレイにアイデアを書き留めておけるようになっている。全体は白を基調としたシンプルなデザインだが、「積極的」「開放的」といったマインドに合わせてライトの色を変更することが可能だ。

  • 専門ルームの様子。ディスプレイなどにも日本マイクロソフトのテクノロジーが使われている

    専門ルームの様子。もちろん、ディスプレイなどには日本マイクロソフトのテクノロジーが使われている

  • 光の使い方にもこだわりがあり、ボタンを押すと、モードに合わせた会話を引き出すような色に変わる

    光の使い方にもこだわりがあり、ボタンを押すと、モードに合わせた会話を引き出すような色に変わる

また、説明会で日本マイクロソフト 代表取締役社長の平野拓也氏は「"Society 5.0"は情報社会の次のステージなので、ITの役割は大きいと考えています。AIやIoT、ロボットなど、テクノロジーとしては存在していますが、それらを包括的に、どのように具現化していくかがキーポイントでしょう。また、我々の企業ミッションや技術は超スマート社会の実現と非常にマッチしています。長い時間がかかったとしても、貢献していきたいですね」と"Society 5.0"の実現に対する姿勢を見せた。

  • 日本マイクロソフト 代表取締役社長の平野拓也氏

    日本マイクロソフト 代表取締役社長の平野拓也氏