ゲーミングPC「GALLERIA」を展開するサードウェーブは、東京都池袋に都内最大級となるesports施設「LFS(ルフス)池袋esports Arena」をオープンすると発表した。2018年4月15日のオープンに先駆けて、サードウェーブ 常務取締役の榎本一郎氏を直撃取材し、その狙いを聞いた。

最大100人がPCゲームをプレイできる「LFS」

「LFS池袋esports Arena(以降、LFS)」は「誰でも気軽にPCゲームを楽しむことができる」をコンセプトとした施設となっており、高い負荷がかかるゲームでも快適にプレイできるように、ハイエンドPCとゲーミングディスプレイを備えたブースを最大100席用意。学校帰りや仕事帰りに手ぶらでフラット立ち寄っても"PCゲームを心ゆくまで堪能できる"スペースといえます。

  • LFS池袋esports Arenaロゴ

  • LFS池袋esports Arenaのイメージ

また、大型スクリーンやステージ、防音仕様のボックス型選手席も完備。さらには、ネット・実況配信設備も完備しており、大規模なゲーム大会やイベントも開催できます。例えば、人気のオンラインゲーム「PLAYER UNKNOWN'S BATTLE GROUNDS(PUBG)」を100人で対戦するといったイベントだって可能です。

キーマンが語る「LFS」

ゲームユーザーが気軽に集える場所として池袋にオープンする「LFS」。サードウェーブは、どのような想いでこの施設をオープンするに至ったのか、キーマンであるサードウェーブ 常務取締役の榎本一郎氏を直撃取材し、その心の内を伺いました。

  • サードウェーブ 常務取締役の榎本一郎氏

施設の名称は、若手社員らに考えてもらったという榎本氏。ただ、発表された「LFS池袋esports Arena」に決まるまでには紆余曲折があったそう。

「"Looking for Squad"、略してLFS(ルフス)というゲーム用語、ご存じないですか? なんて、若手から言われたり(苦笑)。"名は体を表す"というわけではありませんが、オフラインで気軽にゲームを楽しめる仲間を見つけられる、仲間同士で集まれる施設を目指しています」と語ってくれました。

もうひとりのキーマンであるサードウェーブ デジノス事業部 コミュニケーション開発部 部長 大浦豊弘氏は、ポーランドで開催された世界最大規模のesports大会「Intel Extreme Masters Katowice(IEM Katowice) 2018」を視察。esportsが根付いている本場の熱気や盛り上がりを肌で感じたそうです。

「もうすごいのひと言ですね! 若者から小さなお子さんのいる家族連れなど、例えて言うと……メジャーリーグの「ボールパークへ行こう!」っていうかのような雰囲気でesSportsの大会に足を運んでいるんです。盛り上がり方もケタ違いでした」と大浦氏と大浦氏。

「選手だけでなく、観客側もイベントを心の底から楽しんでやるぞ! という意識がひしひしと伝わってくるんです。メインイベントの前から自然発生的にウェーブが場内を駆け巡ったり、プレイに一喜一憂したり。サッカーのようなメジャースポーツと同様に、観客自らが楽しむ文化がある。運営・esSports選手・観客が三位一体となってはじめて本当のエンターテイメントなるんだなと感じました」としたうえで、「LFS」が日本国内においてesportsの本場の文化を醸成する施設になればという意図も込められているそうです。

  • サードウェーブ デジノス事業部 コミュニケーション開発部 部長 大浦豊弘氏

PCの提供から1歩踏み込んで場を提供

「PCを取り巻く環境が大きく変化している中で、ユーザーがサードウェーブに何を求めているのか? それに応えてゲームに特化したハイエンドゲーミングPCの提供や売り場作りをしてきました。そして、モノとしての製品提供に加えて、1歩進んでコミュニティスペース、つまり場を提供したい。弊社の代表である尾崎も『ユーザーに還元したい』と常々申しています。それがLFSを立ち上げるきっかけとなりました」と話す榎本氏。

エンドユーザーに向けた施設によって、esportsを楽しむ人を増やす。それを通じてサードウェーブに対する認知向上にも繋がるほか、そこで得た利益を基に設備投資を行う。こうしたユーザーに還元するエコシステムを構築したいといいます。

ユーザーに求められるモノとして、ハードを提供。次はもう一歩進んでコミュニティの場であったりゲームを体験するコトができるインフラを、そして、長いスパンで文化的な貢献をとの考えです。

門戸をオープンにし、いろいろな人が入りやすく

一方で、esportsを楽しむ文化を醸成するといっても一筋縄ではいきません。「関わる人それぞれで、立ち位置や考え方が異なるので、その調整や摺り合わせに時間がかかります。例えば"esports"という言葉ひとつをとっても『その言葉でくくらないでほしい』という方もいらっしゃいます。でも、私は"esports"を旗印とすることで、それをよく知らない人にも分かりやすくなる。門戸をオープンにし、さまざまな人が入りやすい、みんなで楽しめる環境にしたいと思っています」(榎本氏)。

また、野球やサッカー、卓球などと同じようにesportsが色眼鏡で見られることなく人生の選択肢のひとつとして認められる文化とするために、esportsに携わる人間のキャリアパスが必要だと榎本氏は考えています。

「プロesportsプレーヤーの方々は、ゲームに対して本当に真剣で真面目です。LFSを練習スペースとして、プレーヤーの方々の想いや熱量、卓越したテクニックを見せる場とする。あるいはLFSのようなコミュニティスペースでスタッフとして働く。ゆくゆくは例えば日本eスポーツ連合(JeSU)がコミュニティを牽引するプレーヤーをインストラクターとして認定して職を得る。そういったキャリアパスこそが文化として根付くためには必要だと思います」と語ります。

実際にLFSの運営にあたり、サードウェーブがスポンサードしているプロesportsチームとも協力し合えないか、話し合いの場が持たれているそうです。また、esportsの対戦状況を視聴者に伝える実況者の育成にも話がおよびます。

「ほかのスポーツでもそうですが、その競技の見所が分かると、見方が変わります。ゲームは好きだけれど下手で……という人に対する楽しみ方のひとつとして提案できればと考えています。実況次第で観客の盛り上がり方も変わってきますしね」(榎本氏)。

ユーザーオリエンテッドな場にしたい

LFSについて榎本氏は「まだどうなって行くか未知数ですが……」と前置きしたうえで「とにかくユーザーオリエンテッドな場にしたいという思いでいます。実際に運営する中でお客さまの声に耳を傾け、ユーザーが快適にPCゲームに興じられる空間、仲間同士が楽しめる空間といったコンセプトを維持しながら、esportsの裾野を広げていければ」と語ります。

一方の大浦氏も「esportsのオフラインイベントに足を運んでくれる人というのは、非常に高い熱量を持った方々。そういった方々がムーブメントを作っていき、それが伝播していく。LFSをそういった場所にしたいですね」と意気込みを語ってくれました。

ハイエンドゲーミングPCに力を注ぎ、日本国内でesportsがいまのような話題になる前から業界を牽引してきたサードウェーブ。高まりつつある"新たなesportsの波"をより大きく、そして、日本全国に伝播させるハブとして「LFS」が賑わう未来に期待したいですね。

ちなみに、3月31日(土)にはプレオープンイベントとして、DMM GAMES 公式大会「PUBG JAPAN SERIES」αリーグオフライン決勝が開催されます。当日は、大会出場選手及び関係者以外の入場はできませんが、LFSで行われる試合の様子は公式配信チャンネルで配信予定とのこと。雰囲気だけでもひと足先に味わいたい! という方はチェックしてみては?