スペイン・バルセロナで開催される世界最大級のモバイル関連展示会「Mobile World Congress 2018」(MWC 2018)の開幕前日に、Huawei(ファーウェイ)がプレスカンファレンスを開きました。今回はスマートフォンの新製品ではなく、Windows搭載ノートPCの最新モデル、8.4型・10.8型Androidタブレットに加え、初となる5G対応製品の市販品が登場しました。ここではスリムノートPC「MateBook X Pro」にフォーカスして、発表の内容を紹介しましょう。

  • ファーウェイ発表会「MateBook X Pro」

    13.9型のWindows搭載スリムノートPC「MateBook X Pro」

Huawei Consumer Business GroupのCEOであるRichard Yu氏は、まず2017年のコンシューマ事業を総括し、スマートフォンは1億5,300万台を出荷、収益が30%向上した点をアピール。好調な売り上げの背景には、フラッグシップスマートフォン「Mate」シリーズの評判が高く、利益を牽引したことが挙げられます。

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    Richard Yu氏

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    コンシューマ事業の現状

スマートフォンに加えて、昨年(2017年)は3モデルのWindowsノートPCも投入しました。MateBook X、MateBook E、MateBookd Dで、市場の反応も上々とのことです。

こうした状況に対し、消費者ニーズにもっとフィットするためにすべきことは何か? と、Yu氏は問いかけます。最終的に導き出したYu氏の答えが、「狭額縁のディスプレイ、究極のパフォーマンス、薄型デザイン、インテリジェント機能」です。

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    スマートフォンはMateシリーズが好調

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    WindowsノートPCとして3モデルを発売してきました

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    コンシューマの要望として4点を紹介

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    それをカバーする製品として取り出されたのがMateBook X Pro

そして今回、発表されたのが、13.9型スリムノートPCの「MateBook X Pro」。アスペクト比3:2の13.9インチLTPS(低温ポリシリコン)液晶を搭載しています。一見して目に飛び込んでくるのは、スマートフォンのような上下左右の細いベゼル、狭額縁のデザインです。同じ本体サイズでも、狭額縁のほうが大きな液晶を搭載できます。それを示す画面占有率は実に91%。従来モデルの「MateBook X 13インチ」は88%で、ライバルとして位置付ける「MacBook Pro 13インチ」は82%と、より画面が広い点をアピールしています。

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    MateBook X 13インチとMacBook Pro 13インチの画面占有率

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    それに対するMateBook X Proの画面占有率

ディスプレイは解像度が3,000×2,000ドット、sRGBカバー率は100%、コントラスト比は1,500:1、輝度は450nitsといったスペックを備え、新たにタッチパネルにも対応。Corning Gorillaガラスの採用で傷にも強くしています。

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    ディスプレイの仕様

金属のユニボディやエッジのダイヤモンドカット、サンドブラスト仕上げなど、デザイン性の高さもアピールポイントです。最厚部14.6mm、最薄部4.9mmという薄型ボディは、MacBook Pro 13インチの14.9mm、7.9mmに比べても薄く、1.33kgという重さも含めて優位点だとします。

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    薄型ボディ

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    薄さと軽さをアピールするYu氏

加えてパフォーマンスも重視されています。第8世代Intel CoreプロセッサとなるCore i7-8550U・Core i5-8250Uに加えて、外部GPUとしてGeForce MX150(2GB)搭載モデルを用意しています。メモリも標準で8GB、最大で16GBとハイスペック。

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    Core i7-8550Uの搭載で、第7世代Coreプロセッサよりも40%高速とのこと

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    外部GPUとしてGeForce MX150を搭載。画像編集と動画編集で内蔵グラフィックスより4倍のパフォーマンスになるとします

PCでハイパフォーマンスを実現するには、冷却機構も欠かせません。MateBook X Proでは、インテリジェントクーリングシステムという機構を採用したことで、20%、熱処理の効率化を実現したそうです。バッテリーは57.4Whで、12時間の動画再生、14時間のオフィス作業、15時間のWebブラウジングが可能。「一日中バッテリーが持つ」(Yu氏)。

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    冷却機構にも工夫

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    長時間のバッテリ駆動を実現

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    4つのスピーカーにDolby Atmos対応によるリアルな高音質サラウンドを実現したことで、動画再生などのエンターテインメント用途にも適しています

おもしろいのがWebカメラです。ディスプレイ上部や下部など、一般的なノートPCでの配置では狭額縁ディスプレイを実現できないことから、キーボード(ファンクションキー)の位置にカメラボタンを配置したのです。

ボタンを押し込むとカメラがポップアップするという、新しい構造。物理的にカメラを隠すこともできるので、ビジネスシーンでも有効なギミックでしょう。このカメラとマイクを使って、Web会議にも活用できるとしています。

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    これまでのWebカメラの搭載位置

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    キーボードのファンクションキーの1つがポップアップして、Webカメラが現れます

外部インタフェースは、USB Type-A×1、USB Type-C×2、ヘッドセット端子だけとシンプル。USB Type-C端子の1つはThunderbolt 3もサポートしています。充電はUSB Type-C経由で行われ、付属の充電器を使うと、30分の充電で6時間の利用が可能というスピードチャージです。

ハードウェアだけでなく、ソフトウェアにも新機能が。「HUAWEI Share」は、ファーウェイ端末をワイヤレスで接続して、写真などのデータを同期できる機能です(HUAWEI Share対応の端末が必要)。1,000枚の写真を3分、1GBの動画も1分で転送できるそうです。

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    スマートフォンとPCのデータを連携させるHUAWEI Share

Yu氏は、「ベストなWindowsノートPCだ」と強調して、他社製品との比較表を紹介するなど、製品に自信を見せます。

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    主要製品との比較

発売は2018年の第2四半期からで、第1弾として中国、米国、ドイツ、スペインなどで販売します。発表会では、日本での発売に関しては言及されませんでした。価格はCore i5、8GBメモリ、256GB SSDでMX150搭載モデルが1,499ユーロ、i7/16GB/512GB/MX150モデルが1,899ユーロとなっています。

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    最初の発売国と価格