マイクロソフトのミッションは、あらゆる企業や個人がより多くのことができるように貢献すること、だという。日本マイクロソフト 執行役員常務 パートナー事業本部長 高橋美波氏は、今回の博報堂とのプロジェクトについて、教育の現場に新しい体験を持ち込み、教育の価値を高めることができそうだと語る。HoloLensのようなデバイスの活用で、創造、学習の世界に何かをもたらし、テクノロジーとアート、クリエイティビティをつなぐものとして受け入れてほしいとした。

また、hakuhodo-VRARの須田和博氏(博報堂エグゼクティブ クリエイティブ・ディレクター)は、ただ絵を見るだけではなく、なんとなくでも"感じてもらうこと"をめざし「こういう想いでこの絵が描かれたといったことを知ってもらうきっかけになれば」と語った。

  • 日本マイクロソフト 執行役員常務 パートナー事業本部長 高橋美波氏(左)と、博報堂エグゼクティブ クリエイティブ・ディレクター、hakuhodo-VRARの須田和博氏(右)

リアルな屏風をリアルに見て欲しい

もっとも、教育という言い方をするがHoloLensは13歳以下は使えないというルールがある(一般的なVR・ARヘッドセットもそうだ)。そういう意味では、大人の文化財鑑賞教材といった意味合いが強い。

須田氏はVRでなくMRなのは、リアルな屏風をリアルに見て欲しいからだという。しかも、風と雷は空間表現に適してそうだ。HoloLensが登場する以前に、VRで歴史観光をアップデートできないかと考えていたそうだが、VRでは実際にその場所に来ていることに意味が見出せない。たまたま1年前にHoloLensとの出会いがあって、本物の空間でできそうだという側面に注目して今回のプロジェクトにつながったという。

HoloLensは空間そのものでありフレームがないのが特徴。「広告屋はフレームの中にあるものを作るのは慣れているが、それができないところが難しかった」と須田氏。仮想現実、複合現実の世界はまだ未知の領域で、"街頭テレビで力道山"の段階だという。ここからノウハウをためていきたいと、いきさつを説明した。