一般公開の前日に建仁寺で開催された記者会見には関係各氏が出席し、それぞれの立場からHoloLensへの期待を語った。
臨済宗建仁寺派宗務総長 川本博明師は「風神雷神図屏風は日本の工芸品の国宝第一号。モチーフのおもしろさもあって選ばれたのだろうが、この建仁寺を発表の場にしてもらい、ありがたく思う。この事業を展開されるにあたって、まったくの素人として、生意気なことをいえば、これからの技術なんだろうなという気がしたが、進化すればもっとおもしろくなりそうだ」とコメントした。
日本マイクロソフト社長の平野拓也氏は「テクノロジーの世界も、過去においては一人一日ひとつのデバイスを使っていればいいほうだった。だが世界はインテリジェントクラウドの時代となり、インテリジェントなデバイスの時代になった。このふたつがあわさることで生活、ビジネス、芸術がどんどんデジタルトランスフォーメーションしていく」とコメント。
また、「物理世界とデジタル世界があって、これらを融合したらどうなるか。それがMRということ。リアルもデジタルも分け隔てなくひとつの空間になる。デジタルを現実にまぜることで制約がとりはらわれる。今後もこうしたプロジェクトを継続的に支援していきたい」とした。
美術館では作品の持つ背景にまで到達できない
また、京都国立博物館館長の佐々木丞平氏は「こういう体験は今後ものすごく大きな発展が期待できるのではないかと強く感じた。普段は、建仁寺が所有の屏風絵を預かっているが、本来なら、こういう寺の独特の空間の中で多くの人たちに鑑賞してもらうべきもの。でも今の時代はちょっとそれが難しい。だから博物館の中で見てもらうときは新しい入れもの、新しい照明のもとで見てもらうことになる」と話す。
一方で「でも今回のような試みで、俵屋宗達はこういう見られ方を想定してこの絵を描いたんだろうなと改めて思った」ともコメント。「文化財には本来置かれるべき場所があるはずで、博物館にとってもこれから鑑賞の在り方がずいぶん変わっていくだろうなと実感している。本来、作品には必ず背景がある。ところが美術館に持ってきたとたんにそれがなくなる。作品を見ているだけの世界ではそういうところに到達することはできない。でも、こんなデバイスがあれば違う。だからこそ期待している」とこのプロジェクトへの期待を語った。
「MRミュージアム in 京都」は、建仁寺と京都国立博物館にて以下の日程で一般公開されている。予約などは受け付けていないが、出掛けてみればきっと貴重な体験ができるだろう。
【建仁寺】
- 日時:2018年2月22日(木)~ 2月24日(土)10:00~16:00
- 場所:建仁寺本坊(京都市東山区大和大路通四条下る小松町)
- URL:http://kenninji.jp/info/index.html
【京都国立博物館】
- 日時:2018年2月28日(水)~3月2日(金)11:00~17:00(最終日のみ11:00~13:00)
- 場所:京都国立博物館(京都市東山区茶屋町527)
- URL:http://www.kyohaku.go.jp/jp/riyou/access/index.html
一般公開は当日現地での受付となる。詳細については公式サイトを参照してほしい。