「ガスト」や「バーミヤン」などを展開するすかいらーくは先頃、「IT化による店舗業務の効率化と働き方改革の推進について」と題する記者発表会を開催した。外食産業の人手不足に対応した新たなIT施策の導入かと思いきや、その内容は意外なものだった。
2017年の採用数は5.7万人
スタディストが提供するマニュアル作成・共有プラットフォーム「Teachme Biz」(ティーチミー・ビズ)をすかいらーくが導入するとアナウンスした今回の発表会。冒頭、すかいらーく常務執行役員の金谷実氏は、同社の近況について数値を示して説明を行った。中でも目を引いたのは、パート・アルバイトの人数に関する項目だ。人手不足が話題となる外食業界だが、すかいらーくでは応募数・採用数が右肩上がりで増えており、2017年には前年比120%となる16万人弱の応募の中から、前年比109%となる約5.7万人を採用している。
すかいらーくでも外国人在籍者数は増えているが、上記の数字からも分かる通り、彼らを採用する理由は日本人スタッフの穴埋めというわけではない。外国人スタッフの多くは、日本人スタッフの代替というよりも、年末年始や深夜時間帯など、日本人スタッフが敬遠する時間帯をカバーしてくれる貴重な戦力だというのが、すかいらーくの捉え方だ。
定着率が上がらない理由は業務の難度
応募も採用も増え続け、人手不足とは無縁のすかいらーくだが、課題としているのはスタッフの定着率向上だ。驚いたのは、約5.7万人を採用した2017年の退職数が5万人を超えていること。スタッフ在籍数の安定を図るため、スタッフ定着率の向上が不可欠な情勢だ。では、なぜパート・アルバイトは定着しないのか。その主な理由の1つは「業務の難度」であると金谷氏は分析する。
具体的には、作業手順の多いブランド、メニュー数の多いブランドほど定着率が低いのだ。例えば、オペレーションの難度が高くなく、かつ商品アイテムの少ないブランドである「しゃぶ葉」は比較的、定着率が高いとのことだった。
人手不足には困っていないが、スタッフの定着率は上げていきたいというのがすかいらーくの考え。そこで同社は、店舗に新たなITツールを導入することを決めた。