NECおよびNEC欧州研究所は2月15日、取引記録に参加するノード数200ノード程度の大規模接続環境下で、毎秒10万件以上の記録性能を達成するブロックチェーン向け合意形成アルゴリズムを開発したことを発表した。

NECによると、ブロックチェーンは、複数の参加者がデータの記録と共有を行い、データの保証や改ざん防止を行うが、記録速度や参加ノード数の拡張性に課題があり、この課題はブロックチェーンが参加ノード間の合意形成に用いるアルゴリズムに起因していたという。

今回、NECは、記録性能、参加ノード数で従来を超える性能を持つ合意形成アルゴリズムを備え、かつ関係者外からデータを秘匿可能なソフトウェアを開発、さらに、IoTデバイスからの高速参照も可能にしたとしている。

新技術は、参加ノード数が200ノード程度の大規模環境下で、毎秒10万件以上の記録性能を実現。これは、近年の汎用プロセッサが備えるトラステッドハードウェアTEEのセキュリティ機能を最大限を活用して、参加ノードが合意形成するために必要な通信量ならびに通信回数を削減することで実現している。

また、取引情報を全参加ノードに一律に公開するのではなく、取引情報の公開範囲を限定できる仕組みを開発し、これにより、特定グループ内の取引情報はグループに属するノードにのみ公開するという制御が可能になる。

そのほか、IoTデバイスがブロックチェーンのデータを参照する際に、個々の参加ノードが故障や悪意により記録と異なる情報を回答する場合があるため、複数の参加ノードに問い合わせて検証する必要があり、処理能力が限られるIoTデバイスには負担になるが、参照の際にも、各参加ノードのTEEを活用して、IoTデバイスでも高速な検証を可能にした。

同技術により達成された性能は、世界規模のクレジットカード取引を支えるシステムに必要とされる、毎秒数万件を上回っており、記録性能やノード数の制約によってブロックチェーンの適用を断念していたケースへも対応が可能になるとしている。