では、実際のベンチマークの結果を見ていこう。基本的には、リファレンス端末内にインストール済みのベンチマークを実行し、指定されたテストの結果を掲載しているが、PCMarkのみは特に指定がなかったベンチマークアプリだ。以下、ベンチマーク結果の図は、クリック(タップ)で拡大表示となる。

  • Qualcomm、Snapdragon 845、ベンチマーク
  • Qualcomm、Snapdragon 845、ベンチマーク
  • ベンチマークで使われたリファレンス端末

AnTuTu Benchmark

総合ベンチマークアプリの「AnTuTu Bencmark v7.0.4」を実行したところ、総合スコアは「266186」だった。CPUは91848、GPUが107815、UXが58779、メモリが7744となっており、全体的に見て非常に高い数値が出た。

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    AnTuTuのベンチマーク結果

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    ベンチマーク比較表。以下、Snapdragon 835搭載の端末は「Galaxy Note8」、Kirin 970搭載の端末は「HUAWEI Mate 10 Pro」

メモリテストのスコアは低いが、これはまあリファレンス端末ということで、数字としては総合スコアとCPU、GPUの値に注目したい。いずれも他社の現行ハイエンド端末と比べても大幅に数字が向上。Snapdragon 835比でも良好だ。

Geekbench

同じく総合ベンチマークアプリの「Geekbench v4.2.1」では、Single-Core Scoreが2457、Multi-Core Scoreが8312となった。他社のハイエンド端末がシングルコアで1800前後、マルチコアで6000台であったことと比べれば、かなりの性能向上が見られた。

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    Geekbenchの比較表

GFXBench

3Dグラフィックス向けのベンチマークアプリ「GFXBench v4.0.13」は、「1080p Manhattan 3.0 Offscreen」が5,157フレームで83fps、「1080p Manhattan 3.1 Offscreen」が3,750フレームで60fps、「1080p T-Rex Offscreen」が8,420フレームで150fps、「1080p Car Chase Offscreen」が2,083フレームで35fpsだった。

こちらも、数値としては順当な性能向上が見て取れる。他社ハイエンド端末と比較しても性能は高い。GPUであるAdreno 630の高いパフォーマンスが伺える結果だった。

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    GFXBenchの数字

3DMark

CPUとGPUを計測する、特にゲーマー向けベンチマーク「3DMark v1.5.3074」では、「Sling Shot Unlimited」で計測。

ES 3.1のスコアは4697、Graphics test 1が31.4fps、Graphics test 2が18.7fps、ES 3.0のスコアは5920、Graphics test 1が42.7fps、Graphics test 2が27.8fpsだった。

なお、3DMarkの現行バージョンはv2.0.4574で、Sling Shot UnlimitedはOpen GL ES 3.0、Sling Shot Extreme UnlimitedでOpen GL ES 3.1が使用されるようになっているため、直接的な比較は難しい。

いずれにしても、このあたりはQualcommの指定によるベンチマークの結果であるが、全体的な傾向を見ても、新たなCPUやGPUの性能向上は明らかといってよいだろう。

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    3DMarkの結果。Snapdragon 835とKirin 970のES 3.1テストは、Sling Shot Extreme Unlimitedの結果

PCMark

総合ベンチマークの「PCMark for Android v2.0.3716」のテストも行った。実行したのは「Work 2.0」で、Webブラウジングやビデオ編集、写真編集などの操作のパフォーマンスを測定してくれる。

総合スコアは8419で、画像編集にも威力を発揮しているのが分かる。動画編集でSnapdragon 835に劣る数字が出た点はちょっと理由が不明だった。

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    PCMarkの結果

JavaScriptベンチマーク

JavaScriptのベンチマークとして4つのテストも実施。現在はやや時代遅れのテストもあるが、テスト自体はChromeブラウザ上で実施してみた。

「Kraken v1.1」はトータルスコアが2438.5ms。「Octane 2.0」はスコアが15932、「Sunspider v1.0.2」は406.9ms、「JetStream v1.1」は86.226だった。

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    JavaScriptベンチマークの比較

まとめ

以上、ベンチマークによる結果では、新型SoCにふさわしい十分な性能向上が示された。Qualcomm自身も認めているとおり、ベンチマークはあくまでSoC全体としては性能の一部しか測定できておらず、これだけで判断することはできない。

特に、スマートフォンはストレージやメモリも重要だし、ネットワーク性能も大事な要素だし、カメラ機能や画質も重要だろう。こうしたスマートフォンとしての設計は端末メーカーが取り組むべき内容であり、同じSnapdragonを搭載しても端末ごとの差が出てくる。

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    ベンチマーク中のリファレンス端末

あくまで参考という位置づけだが、Snapdragon 845自体は、ハイエンド向けSoCとして確実にしっかりと性能向上を果たしたといえる。