では、実際のベンチマークの結果を見ていこう。基本的には、リファレンス端末内にインストール済みのベンチマークを実行し、指定されたテストの結果を掲載しているが、PCMarkのみは特に指定がなかったベンチマークアプリだ。以下、ベンチマーク結果の図は、クリック(タップ)で拡大表示となる。
AnTuTu Benchmark
総合ベンチマークアプリの「AnTuTu Bencmark v7.0.4」を実行したところ、総合スコアは「266186」だった。CPUは91848、GPUが107815、UXが58779、メモリが7744となっており、全体的に見て非常に高い数値が出た。
メモリテストのスコアは低いが、これはまあリファレンス端末ということで、数字としては総合スコアとCPU、GPUの値に注目したい。いずれも他社の現行ハイエンド端末と比べても大幅に数字が向上。Snapdragon 835比でも良好だ。
Geekbench
同じく総合ベンチマークアプリの「Geekbench v4.2.1」では、Single-Core Scoreが2457、Multi-Core Scoreが8312となった。他社のハイエンド端末がシングルコアで1800前後、マルチコアで6000台であったことと比べれば、かなりの性能向上が見られた。
GFXBench
3Dグラフィックス向けのベンチマークアプリ「GFXBench v4.0.13」は、「1080p Manhattan 3.0 Offscreen」が5,157フレームで83fps、「1080p Manhattan 3.1 Offscreen」が3,750フレームで60fps、「1080p T-Rex Offscreen」が8,420フレームで150fps、「1080p Car Chase Offscreen」が2,083フレームで35fpsだった。
こちらも、数値としては順当な性能向上が見て取れる。他社ハイエンド端末と比較しても性能は高い。GPUであるAdreno 630の高いパフォーマンスが伺える結果だった。
3DMark
CPUとGPUを計測する、特にゲーマー向けベンチマーク「3DMark v1.5.3074」では、「Sling Shot Unlimited」で計測。
ES 3.1のスコアは4697、Graphics test 1が31.4fps、Graphics test 2が18.7fps、ES 3.0のスコアは5920、Graphics test 1が42.7fps、Graphics test 2が27.8fpsだった。
なお、3DMarkの現行バージョンはv2.0.4574で、Sling Shot UnlimitedはOpen GL ES 3.0、Sling Shot Extreme UnlimitedでOpen GL ES 3.1が使用されるようになっているため、直接的な比較は難しい。
いずれにしても、このあたりはQualcommの指定によるベンチマークの結果であるが、全体的な傾向を見ても、新たなCPUやGPUの性能向上は明らかといってよいだろう。
PCMark
総合ベンチマークの「PCMark for Android v2.0.3716」のテストも行った。実行したのは「Work 2.0」で、Webブラウジングやビデオ編集、写真編集などの操作のパフォーマンスを測定してくれる。
総合スコアは8419で、画像編集にも威力を発揮しているのが分かる。動画編集でSnapdragon 835に劣る数字が出た点はちょっと理由が不明だった。
JavaScriptベンチマーク
JavaScriptのベンチマークとして4つのテストも実施。現在はやや時代遅れのテストもあるが、テスト自体はChromeブラウザ上で実施してみた。
「Kraken v1.1」はトータルスコアが2438.5ms。「Octane 2.0」はスコアが15932、「Sunspider v1.0.2」は406.9ms、「JetStream v1.1」は86.226だった。
まとめ
以上、ベンチマークによる結果では、新型SoCにふさわしい十分な性能向上が示された。Qualcomm自身も認めているとおり、ベンチマークはあくまでSoC全体としては性能の一部しか測定できておらず、これだけで判断することはできない。
特に、スマートフォンはストレージやメモリも重要だし、ネットワーク性能も大事な要素だし、カメラ機能や画質も重要だろう。こうしたスマートフォンとしての設計は端末メーカーが取り組むべき内容であり、同じSnapdragonを搭載しても端末ごとの差が出てくる。
あくまで参考という位置づけだが、Snapdragon 845自体は、ハイエンド向けSoCとして確実にしっかりと性能向上を果たしたといえる。