女性向けメディアミックス作品『明治東亰恋伽』(通称:めいこい)のイベント「明治東亰恋伽~ハイカラ浪漫劇場5」が1月21日、神奈川県・パシフィコ横浜国立大ホールにて行われた。
出演は、森鴎外役の浪川大輔、菱田春草役のKENN、川上音二郎役の鳥海浩輔、泉鏡花役の岡本信彦、藤田五郎役の福山潤、小泉八雲役の立花慎之介、チャーリー役の森川智之。昼夜2公演のうち、今回は夜の部の模様をレポートする。
回転木馬などが設置されたきらびやかなステージセットに、森川が演じるチャーリーの声が響き、私たちを明治時代の遊園地「ルナパーク」へといざなう。チャーリーの声が「いくよ! 3、2、1」と唱えると、ジャジーな「Dance in the Light」のイントロに乗せてKENNが登場。艶やかな歌声を響かせ、最後は客席にキスを贈り、イベントの開幕に華を添えた。
ライブが終わると、7名のキャストたちがステージに勢ぞろいする。「夜公演」を意識したスーツ姿が、みな凛々しく決まっていた。森川いわく、夜公演は「遊園地デート」をコンセプトに、魚住ユキコ書き下ろしのオリジナル朗読劇でファンを楽しませてくれるそう。それぞれにイベントを楽しんでもらえるようファンに告げ、いったんキャスト陣は退場していく。
朗読劇の始まりは、ルナパークの総合プロデューサーに就任した岩崎桃介(CV:細谷佳正)からの挨拶。電飾で光り輝くロマンチックな園内の様子に、「今、『キレイ! まるで魔法みたい!』っておっしゃいました? これは魔法の力ではなく、電気の力です!」と爽やかに言い放つところが彼らしい。また、この日ファンに配布された「携帯ライト」(ペンライト)は岩崎の発明したもの、ということだ。
物語は、岡本演じる泉鏡花といつも一緒にいるウサギの物の怪が、ルナパーク内で迷子になることから始まる。ウサギが縁結びの象徴と知るやいなや、ウサギ探しにがぜん本気を見せはじめる6人。
物の怪ウサギをおびきよせるために、チャーリーに奇術で本物のウサギを出してもらおうとするも、チャーリーの魔法は大失敗。なんと鴎外と春草、音二郎と鏡花、そして五郎と八雲がそれぞれ入れ替わってしまう展開に。最後には、6人がウサギになってしまう。ウサギの耳をつけた愛らしいキャストたちの姿に、ファンも大興奮の様子だった。
場面は代わり、立花演じる小泉と福山演じる藤田が、どちらが主人公とお化け屋敷に入るかで口論するシーンに。そこへチャーリーがやって来て、けん玉対決を提案する。こうして二人は、60秒間のうちで何回剣先に玉を刺せるかで争うことになった。
結果は、リズミカルにけん玉を操っていた藤田の勝利。お化け屋敷の中で「どこへも行かず、お前だけを見ている。誰にも渡しはしない、お前だけは」と深い愛を主人公に囁いた。また、敗れた小泉もお化け屋敷から出てきた主人公に「どうか私をかたわらに置き、あなたを守る権利をください。誰よりもあなたのことを思っています。どんな時も愛しています」と、甘いセリフとともにキスを贈る。
続いて登場したのは浪川演じる鴎外と、KENN演じる春草。二人も、どちらが主人公とローラーコースターに乗るかで喧嘩になったため、早口言葉対決をすることに。結果は、春草が開始早々に噛んでしまい、鴎外が勝利を手にする。
鴎外は主人公とローラーコースターに乗り、「手に入れたのは僕だよ。さぁ、子リスちゃん、これは命令だ。僕を愛しなさい。僕はそれ以上の愛を、お前に捧げよう」という少し強引な愛の告白。これには会場中から嬌声が上がった。また、春草も「早くこっちに来なよ」と主人公を鴎外から引き離し「朝から晩まで俺のものになるって約束しない? じゃなきゃ許さない。俺のことを好きにならなきゃ、この手を離さない」と嫉妬深くも甘い言葉を囁く。
そのかっこよさに心を奪われたのはファンだけではなかったようだ。セリフが終わると、KENNの腕をそっと掴む浪川の姿がそこにあり、二人のパートは笑いで締めくくられた。
岡本演じる鏡花と、鳥海演じる音二郎は、主人公と回転木馬に乗る権利をかけ、『めいこい』イベント恒例の「とらとら」で対決。ここでは、チャーリーの代わりに二人の勝負の見届け人として、馬に乗って鴎外が登場した。
「とらとら」はジェスチャーによるジャンケンのようなお座敷遊び。鏡花は「老婆」に扮するが、それよりも強い「虎」に扮した音二郎が勝利する。「これが本物の馬だったらお前をこのまま遠くにさらっちまえるのにな。お前を誰かに取られる心配なんざ、しなくて済む…なんてな。弱気になるなんて俺らしくねえか!」と、回転木馬に乗りながら意外な一面を見せる音二郎。
そこで、鏡花も負けじと主人公に愛を告白。「僕は別に回転木馬に乗りたいなんて思ってないから」とツンとした表情を見せるものの「僕はアンタと二人じゃなきゃ嫌なんだ。アンタしか触りたくないし、アンタのことしか考えてない。アンタのことが好きなんだ……」と狂おしいほどの思いを吐露していた。
ウサギの物の怪はようやく発見されたが、春草がつくった雪ウサギのそばを離れない。どうやら物の怪は雪でできたウサギに恋をしているようだった。しかし、もうすぐ雪は溶けてしまう。そこで、チャーリーが客席のファンとともに、おまじないをかけることを提案。会場中が一体となって「3、2、1」と唱えると、なんとステージに雪が降り始める。こうして、雪ウサギと物の怪はもう少しの時間だけ一緒にいられることに。
それでもいつか雪が溶けてしまうことを春草が心配すると、鴎外が「互いにとって大事なのは、時間の長さではなく、深さ」と春草を諭す。小さなラブストーリーの余韻が残るなか、ファン参加型の朗読劇が幕をおろした。
エンディングでは、アニメ化の続報として設定画が初公開された。また、2018年夏リリース予定のアプリゲームの事前登録キャンペーンや、実写ドラマ&映画化など、今後が楽しみとなる情報が次々と告知されていく。
最後の挨拶では、キャスト陣がこれまでを振り返り、今後の展開にも期待を寄せた。そして、7名全員で声を揃え「ありがとうございました! またお会いしましょう!」と挨拶すると、銀テープが客席を舞う。作品世界に浸りきれる、ボリューム満点のイベントが終幕した。