一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)は2018年1月22日、Windows 10の啓発活動を目的に「Windows 10のメリットを活用するためのポイントV1.0」なるドキュメントを公開した。JEITAは活動内容に応じて複数の部会を設けており、今回のドキュメントは東芝やパナソニック、富士通などが名を連ねる情報・産業システム部会内のPC・タブレット事業委員会が作成したものである。

Windows 7は2020年1月14日、Office 2010は2020年10月13日に延長サポート期間を終え、一般ユーザーはもちろん企業ユーザーも、Windows 10やOffice 365への移行を求められている。PC1台であればOSやアプリケーションのアップグレードは数時間で終えることができるものの、数十~数百台のPCを所有もしくはリースしている企業は早期準備が必要だ。そのため、日本マイクロソフトもサポート終了移行支援サイトを開設し、各種施策を用意している。

  • 移行支援サイト

    日本マイクロソフトはWindows 7やOffice 2010の延長サポート終了に伴う移行支援サイトを用意した

日本マイクロソフトや業界団体であるJEITAがWindows 10への移行・利用をうながすのは、同OSから導入した「Windows as a Service(WaaS)」構想の存在が大きい。昨今のマルウェア脅威などを鑑みればパターンファイルの更新頻度ではなく、OS本体の脆弱性をふさぐ積極的な取り組みが必要だ。そのためMicrosoftは頻繁にセキュリティ対策と新機能を追加するWaaSをWindows 10で採用した。

一方で、その更新頻度の高さはトレードオフ的な欠点をWindows 10にもたらした。それは安定性の欠如だ。前述したドキュメントは、複数の観点からWindows 10の特徴やメリット・デメリットを解説し、利用者への理解を求める内容となっている。

簡単に要約するとWindows 8.1以前のユーザーを対象に、WaaS導入に伴うサポート期間の概念や、バージョンアップに伴う機能変更、デバイスの互換性問題などを取り上げている。また、非Windows 10ユーザーが戸惑うであろう初期化機能や半期チャネル(旧CBやCBBなど)の概要、Windows Insider Programの留意点にも触れている。

  • Windows 10のメリットを活用するためのポイントでは細かい部分にも触れている

    「Windows 10のメリットを活用するためのポイントV1.0」では、クイックアクセスメニューの項目がWindows 10 バージョン1607と同バージョン1703で異なる点など、細かい部分にも触れている

改めてWindows 10を俯瞰すると、OS本体はもちろんUWPアプリケーションも独立した形で更新し、整合性が崩れるケースは珍しくない。直近のケースではUWPアプリ(ケーション)の「メール」で署名設定を試みるとアプリケーション自身がハングアップするトラブルに悩まされている。

UWPアプリに関しては筆者の勉強不足もあるものの、以前のように要因を推察して、トラブルシューティングすることが難しく、ここ1カ月はだましだまし使っている状態だ。このような"致命傷にはならないが、日々の業務に軽微なダメージを与える"トラブルは枚挙に暇がない。

だが、いまさらWindows 7やWindows 8.xを使おうとは考えられない。古いOSにおける起動速度の遅さや柔軟性の低さに加えて、WSL(Windows Subsystem for Linux)といったWindows 10の優位性を考えれば、古いOSを選択するメリットがないからだ。

この点においてはWindows 10の利用で悩まされている方も同意して頂けるだろう。だからこそ、現在Windows 7など古いOSを使っている読者諸氏は、今回JEITAが公開したドキュメントに目を通して、Windows 10への移行を考慮してほしい。

阿久津良和(Cactus)