もちろん、1万円前後が主流となっていた新入生向けプリンタの本体価格が、エコタンクモデルでは、2万9,800円と3倍になることで、当初は、売れ行きが懸念されたのも事実だ。

だが、「新入生が最初にPCやプリンタを購入する際には、親が購入してくれる場合がほとんど。4年間インクを交換せずに利用できるというのであれば、初期費用が高くても、エコタンクモデルを購入したほうが安いこと、さらに、子供が在学期間中、インクの減りを気にすることなく、躊躇なくプリンタを利用できるという点でもメリットがあると考える親が多い」(東京工業大学生活協同組合大岡山店・佐藤副店長)という。また、「自宅から通学している学生の場合でも、親も一緒にプリンタを使うことを想定し、エコタンクモデルを購入する例がある」(東京工業大学生活協同組合大岡山店・佐々木店長)という。

また、店舗にとってもメリットは大きい。

「エコタンクモデルによって、平均単価が上昇すること、さらにはインクカートリッジの品揃えを絞ることができる」(東京工業大学生活協同組合大岡山店・佐々木店長)といった点でも効果が見込めるからだ。

大学ではペーパーレス、自宅プリントは増加

エコタンクモデルを利用している学生からも、大容量インクならではのメリットをあげる声が出ている。

早稲田大学政治経済学部2年の浅田鷹哉さんは、「従来のプリンタでは、インクカートリッジを交換するのに、かなりのコストがかかり、せっかくプリンタを購入しても、印刷を躊躇していた。エコタンクモデルではインク代の心配がいらない」と語る。

ゼミの資料や、判例の資料の印刷のほか、レポートの下書きを印刷したり、サークルの資料の印刷したりといった用途でも利用しているという。

「大学全体ではペーパーレス化が進められているため、学生各自が印刷する機会が増えている。レジュメの印刷やゼミ資料の印刷、枚数が多い判例の印刷などは事前に大学内の学部のプリンタで印刷することができるが、レポートは夜中に家で作成することが多いため、プリンタが家にある方が安心できる。また資料の持ち込みが可能な試験でも、持ち込めるのは原則は紙であるため、プリンタによる印刷が必要なことも多い」という。

大学生協東京事業連合の中原次長は、「仕入れ機種の選定には学生の意見も聞いている。今期は、実際にエコタンクモデルを利用してきた学生の声が生きている。前期はエコタンクモデルの存在とメリットを知ってもらうことに苦労したが、今期は、前期の実績と成功事例が、全国でのエコタンクモデルの取り扱い拡大につながっている」とする。