ソニーは12月7日、腕時計のバンド部に必要な機能を内蔵したハイブリッド型スマートウォッチ「wena wrist」新モデル「wena wrist pro」と「wena wrist active」の2製品を発表した。
wena wristは、ソニーの新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program(SAP)」から生まれた製品。wena wrist開発者のソニー 新規事業創出部 wena事業室 統括課長の對馬 哲平氏によれば、「腕時計という長年培われた文化や伝統を大切にしながら、最新テクノロジーを駆使し、ウェアラブルデバイスを違和感なく身につける世界をつくる」ことをコンセプトにしているという。
第1弾として登場したwena wristは、腕時計のバンド部分にスマートウォッチに必要となる機能や電子マネー機能などを内蔵することで、腕時計文化とスマートウォッチという新しい文化を融合させることを狙ったものだった。
初代wena wristが発表された2015年当時は、各社から多くのスマートウォッチが登場し、注目を集めていた時期でもあるが、その中でwena wristは、クラウドファンディングで当時の国内史上最高額となる支援を集めるなど、かなりの成功を収めた。そして、初代の考え方を受け継ぎつつ、理想の姿に近づけるよう、さらなる進化を実現したのが、今回発表された第2世代となる新モデルとなる。
今回の発表では、本流となる正統進化モデルがwena wrist proとして登場した。ハンド幅が22mmから20mmに狭められ、厚みも薄くすることによって、体積比で約25%の小型化を実現。中でも薄さについては、「0.1mm違うだけで装着感が変わるので、薄くすることに全力を注いだ」と對馬氏が語るように、外装のカーブに合わせて内部基板のパーツ実装位置を調整するなどして、薄型化を実現した。
防水性能も5気圧防水に高められており、バンドの小型化と合わせて装着感や実用性を向上させている。また、初代では着信やメール受信などの通知をバイブレーションと7色LEDで行っていたが、wena wrist proでは新たに最大2行の文字表示が可能な有機ELディスプレイを搭載した。
着信相手の名前やメールのタイトル、SNSの内容などを文字で通知できるようになり、スマートウォッチとしての利便性を高めた。また、スマートフォンのアプリと連携して、歩数や消費カロリー、睡眠状態などを測定する活動ログ機能も利用可能となる。
そして、對馬氏が"分流"と話すのがwena wrist activeだ。
こちらは、GPSや光学式心拍センサーを搭載し、活動ログ機能を強化したモデル。バンド側にスマートウォッチとしての機能を集約したり、各種通知を文字で確認できる有機ELディスプレイの搭載といった部分はwena wrist pro同様だが、スポーツシーンにも対応できるよう、バンド素材にはシリコンラバーを採用した。
また、對馬氏が最大の特徴と強調するのが、時計ヘッドを簡単に着脱できる独自の機構を採用している点だ。これにより、普段は腕時計として利用しつつ、運動や睡眠時には時計ヘッドを外してスマートバンドとして、シーンに合わせて利用できる。
また、両モデルとも、従来モデル同様にFeliCaベースの電子マネー機能も搭載。利用できる電子マネーは、初代と同じ楽天EdyやiDなどをはじめとした6種類。残念ながらSuicaなど交通系ICカードには非対応だが、對馬氏によれば第2世代モデルに搭載されるFeliCaは交通系ICカードの技術要件を満たしているとのことで、今後対応に向けて努力したいという。