Amazon傘下のTwitchが、有料サービスの「Twitch Prime」の提供を日本でも開始した。Amazon.co.jpが提供する年額3,900円の「Amazonプライム」利用者向けnのサービスで、Amazonプライムユーザーであれば追加料金なしで利用できる。すでにグローバルでは提供されていた同サービスの日本提供にあたって、同社シニアバイスプレジデントのMichael Aragon氏に話を聞いた。
Twitchは、ゲーム動画の配信からスタートし、現在はソーシャルビデオプラットフォームとしてゲーム以外の動画配信にも力を入れている。
Twitchのアクティブ訪問者数は全世界で1日1500万ユーザー。パートナーシッププログラムへの登録メンバーは2万5,000。月間のユニーク配信者数は220万。アフィリエイトプログラムの登録者は11万、1人あたりの1日の平均視聴時間は106分だという。
これに対して日本は、1日の1人あたり平均視聴時間は300分。これは世界でも最も視聴時間が長く、対前年比で2倍近い伸び率を示しているほか、チャット利用も毎月900万のインタラクションがあり、これもほかのエリアに対して2倍の数値となっている。「エンゲージメントが高くロイヤリティの高いユーザーが多い」とAragon氏は分析する。
Aragon氏は「日本はゲーム発祥の場所で、プレイステーションなど強力なプラットフォームがある。ゲーム市場で存在感が欲しかったら避けて通れない」と日本市場の重要性を強調。東京ゲームショウでも大きなブースを設け、日本オフィスの設立も行って、さらなる強化を図っていく考えだ。
Twitch Primeは、動画内広告の非表示やゲーム内アイテムのプレゼントといったユーザー側のメリットに加えて、動画を配信するクリエーターにとっても大きなメリットがある。それが30日間ごとの有料チャンネル1本に対しての無料スポンサー登録だ。
Twitchではクリエーターのチャンネルに対するスポンサー登録は本来有料だが、Twitch Primeに加入すると30日間ごとに1本、無料でスポンサー登録できる、このためグローバルでは、スポンサーとして登録するユーザーが50%以上増加しているという。
この無料スポンサーは有料スポンサーと違いはないので、Twitchからクリエーターに収益が分配される。無料でスポンサー登録できることによって、いままで二の足を踏んでいたユーザーが参加するようになれば、スポンサーが増加し、クリエーターの収益拡大にも繋がるという訳だ。
「結構な金額が動いてクリエーターに支払われる」とAragon氏。ライブ配信したい、実況したいというだけならほかのサービスもあるが、Twitchでは豊富なマネタイズ用の機能があり、収益が上げられる、とAragon氏はアピールする。
クリエーターにとっては、ロイヤリティ収入などさまざまな方法がTwichにはあり、「自分の魅力を元に安定的に収益に繋げられる」とAragon氏。
ゲーム配信者だけでなく、ソーシャルビデオプラットフォームと位置付けるのもそのためで、「表現の場」として幅広いジャンルのクリエーターの参加を期待する。グローバルでも、ゲーマーに共通する趣味をターゲットに、アニメ、スポーツ、SFといった具合に拡大しており、日本でも今後ゲーム以外のコンテンツも提供していくという。
過去にはイラストや漫画を描いているところを配信したり、フィギュアを作るところを配信したりと、ゲーム以外のコンテンツも提供してきたが、ゲーマーがほかにも興味を持ちそうなジャンルを考えて提供することを検討しているそうだ。
Aragon氏は、「Twitchは企業として配信者がいて初めて成り立つ。企業、配信者、視聴者とのエコシステムができるようにしたい」と意欲を見せる。
こうしたサービス提供が功を奏して、海外では、Twitch Primeの提供によって、Amazonプライムの会員増加の「最も大きな要因になっている」(Aragon氏)という。日本はAmazonプライムの料金が世界に比べても半額以下に抑えられていることもあり、「日本ではAmazonプライムがうまくいっているのでシナジーを期待している」(同)。
AmazonとTwitchの間ではレベニューシェアの関係にあるというが、Twitch Primeの提供で収益の拡大は「かなり期待している」とAragon氏。先行する海外でも成長していることから、日本市場でのTwitch Primeの拡大にAragon氏は自信を見せている。新たな動画配信プラットフォームとして国内市場に存在感を示せるか、今後の動向を注目したい。