KDDIとANA総合研究所、コロプラの3社は11月30日、位置情報ビッグデータを用いた多摩地域の観光動態調査および観光地域づくりの検討業務を共同で開始したと発表した。同業務は、KDDIが東京都市長会から「多摩地域における観光地域づくり推進支援業務」を受託して実施する。

  • 業務の概要

    業務の概要

東京都市長会は、多摩地域の住民向け福祉サービスの向上と地域経済の発展のため、26市の市長が多摩地域の諸課題について、協議、検討および政策提言を行うことを目的とする団体。

同会では国内外からの注目が集まる2020年に向けて、多摩地域が連携し観光による新しい地域づくりを推進し、より魅力的な地域への発展と人口減少時代にも備えた地域経済の構築を目指すため、2016年度に提言書「多摩地域が一体で取り組む観光地域づくり -誇りと愛着のある豊かな地域づくりに向けて-」を取りまとめている。

今回、同提言を踏まえ、多摩地域における観光地域づくりを行う同会の取り組みに対する支援を目的に、3社が互いの知見を共有しながら、多摩地域における観光地域づくり推進支援業務を共同で開始した。

具体的には、KDDIが保有する位置情報ビッグデータを基に、コロプラが多摩地域の30市町村に来訪する観光客の観光動態分析を進め、多摩地域の観光資源の洗い出しや市町村ごとの観光客の周遊状況の分析結果を基にコンサルティングを実施する。

さらに、KDDIとANA総研が具体的な事業案の検討や、多摩地域の観光振興に望ましい推進体制の整理を含めた実施方針・実施計画案の策定などを支援する。

  • 観光動態調査レポートのイメージ

    観光動態調査レポートのイメージ

観光客および地域住民の観光動態の把握に関して、KDDIとコロプラは、auスマートフォン利用者の位置情報ビッグデータを利用した「Location Trends」を2013年10月より提供し、これまでに70以上の自治体や観光協会への提供を通じて、観光活性・防災対策・交通環境整備などサポートしている。

同業務では、Location Trendsを用いて、多摩地域30市町村へ来訪する国内観光客に加え、多摩地域30市町村の居住者も対象にした観光動態分析を実施する。多摩地域全体・多摩地域30市町村・多摩地域150観光スポットの分析や、市町村間の周遊観光の状況、流入経路の分析などを、東京都市長会および域内の30市町村に提供する。

多摩地域全体の観光推進体制構築などの支援では、KDDIとANA総研が共同で、多摩地域の観光振興のための具体的な事業案の検討や、多摩地域の観光振興に望ましい推進体制の整理を含めた、実施方針や実施計画案の策定などを支援する。

KDDIは、2015年に岐阜県白川村、2016年に兵庫県豊岡市、2017年に福島県と協定などを締結し、位置情報ビッグデータの分析に基づいた観光マーケティングや誘客促進などを中心とする地域経済の活性化の取り組みを進めている。

ANA総研は、全国55カ所以上の自治体と提携関係を持ち、職員の派遣を通じた観光振興施策の実施支援、客室乗務員のナレッジ・ノウハウを生かしたおもてなしセミナーの開催、ANAグループの発信力を生かした地域プロモーションなどを実施している。

これら、KDDIが保有する観光マーケティングの手法およびANA総研が保有する自治体との提携関係で得た知見などを利用し、東京都市長会による多摩地域全体で持続的な観光振興が図れる体制の構築や、具体的な実施計画、事業などの検討支援を行う。

同事業における各社の役割は、KDDIは「多摩地域における観光地域づくり推進支援業務」の受託者となるとともに、auスマートフォン利用者の位置情報ビッグデータの収集、東京都市長会への事業案の提案、実施計画の策定支援コンサルティングなどを担当する。ANA総研は、KDDIが実施するコンサル事業への支援を担う。コロプラは、位置情報ビッグデータの分析業務およびコンサルティングへの協力を担当する。