「機は熟した」

ソニーは11月1日に製品発表会を開催し、自律型エンタテインメントロボット「aibo(アイボ)」を披露した。同日の午後11時1分よりソニーストアオンラインにて予約受付を開始している。

本体価格は198,000円(税別)。加えて3年契約となる「aiboベーシックプラン」(2,980円/月)に加入する必要がある。故障や破損時の対応が安価になる「aiboケアサポート」(20,000円/年)は任意加入だ。

新しい犬型ロボット「aibo」

1999年に発売され、2006年に生産・販売が停止となった「AIBO」を覚えている人も多いだろう。今回、発表になったアイボは、まさにそのロボットの約12年ぶりとなる後継モデルである。

発表会に登壇したソニーの平井一夫CEOは、ソニーが取り組む重要なテーマとして「AI×ロボティクス」を掲げ、「家庭の生活をより便利に楽しくするだけでなく、広範な領域への展開も図っている。そのために必要な技術、人材への投資も積極的に行っている」とアピール。米Cogitai社への資本参加やSony Innovation Fundの設立といった近年の動きを改めて紹介した。

こうしたロボティクス分野の盛り上がりが後押しとなり、平井CEOは約1年半前にアイボの開発を指示したという。しかし、なぜ今、再び「アイボ」なのか。

aiboを抱くソニーの平井一夫CEO

平井CEOが語ったところによると、大きな理由はAIやネットワーク、メカトロニクスなどの技術が飛躍的に進歩したこと。また、ソニー社内にロボットを作りたいというエンジニアが多数いたことから「機は熟した」と判断したという。

あえて「アイボ」を踏襲した理由としては、「先代のアイボは残念ながら生産中止となり、そこからもう一度商品の開発をスタートさせるのであれば、アイボをリスタートさせたいという思いが強かった」と。

並々ならぬ思いでソニーが送り出す新アイボ。その特徴は大きく4つ、「愛らしさ」「知的認識」「表現力」「学習・育成」である。これらは言い換えると、「デザイン」「センシング」「メカトロニクス」「AI」となる。

aiboの登場シーン。平井CEOのもとに歩いてきた

まず、デザインだが、はっきり犬型とは明言していなかった前モデルと異なり、今回は「犬型ロボット」をうたう。フォルムはより丸みを帯び、前モデルよりもはるかに"生き物"らしくなった。社外のインダストリアル・デザイナーではなく、すべて社内のクリエイティブセンターでデザインしたという。

様々なセンサーを搭載することにより、周囲の環境を把握して状況に応じた行動がとれるようになった。たとえば頭と背中には撫でられたことを検知するタッチセンサー、胸部には人に反応する人感センサー、足には肉球を模したスイッチといった具合だ。加えて、鼻にはカメラと魚眼レンズを搭載し、人の姿を認識するようになっている。ほかにも、照度センサー、マイク、PSDセンサー、ToFセンサー、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)など多数のセンサーを搭載する。

状況に応じた行動がとれるよう、多数のセンサーを持たせた

せっかくマイクを搭載したなら、人間の言葉で話しかけることができても良さそうだが、これについては「企画段階で議論があった」と前置きしながらも、「今回は犬型を想定しているので、人間の言葉は話さないことにした」とのこと。