AppleがMac向けにも自社開発のプロセッサを採用することのメリットは、Intelのプロセッサのリリースペースに合わせる必要がなくなることだ。ただ、Appleの製品ラインアップから考えると、Macに自社開発のプロセッサを搭載させる必要はない。その理由は、iPad Proがあるからだ。

Appleは常に、iPadに対して、パフォーマンスを高めた自社開発のプロセッサを搭載してきた。実際、4Kのビデオ編集を行う際、手元のMacBook Pro 13インチモデルよりもiPad Proを使いたいと思わせるほど、その処理性能は既に高くなっている。

本連載でも触れてきたが、Appleはアプリ開発やより高度なコンテンツ制作以外の日常的なコンピュータ利用やビジネスシーン、教育現場においては、MacではなくiPad Proを使ってもらうよう、その環境を整備している。

そのことから考えれば、Macに自社プロセッサを搭載するよりは、既に採用しており、タッチディスプレイにも対応しているiPad Proの活用を後押ししていくことに注力するのではないだろうか。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura