中古ショップを訪れる前に

最近のデジタルカメラは進化のスピードが落ち着きつつあり、ここ2、3年内に発売されたモデルであれば、画質的にも性能的にも新製品に大きく見劣りはしない。限られた予算内で充実した写真生活を送るには、中古品こそ狙い目だ。本稿では、中古デジカメを賢く購入するための秘訣をお伝えしよう。

中古カメラ店は、複数のカメラを実際に手にとって比較検討できることがメリットだ

中古デジカメを買うには、オークションサイトなどさまざまな手段があるが、今回はまず「中古カメラ店での購入」という昔ながらの方法にこだわってみたい。ネット購入がダメなわけではもちろんないが、実機を見ながら選んだほうが確実であり、ビギナーでも安心できるからだ。

とはいえ、新品のカメラと違って、いきなり店頭に行っても目当てのモデルがあるとは限らない。運よく入荷していても、その価格がお買い得かどうかを判断するのは難しいだろう。前もって中古ショップのWebサイトを見て、欲しい機材の相場や在庫の有無を確認しておくことをオススメする。

多くの中古カメラ店のWebサイトでは、写真やテキストによって製品の状態や価格を確認できる

老舗の中古カメラ専門店、三宝カメラの店内の様子

そのうえで実際に店舗を訪れ、候補となる機材を自分の目でチェックしていこう。以下は中古カメラを買う際の基本となる5つのチェックポイントだ。

ポイント1 「ランクと価格を確認する」

多くの中古カメラ店では、商品をコンディションによって数段階のランクに分け、ランクに応じて値付けを行っている。ランクの名称は店によってまちまちで、例えば「未使用品、新同品、美品、良品、並品、難有」といった日本語表記や、「S、A、AB、B、C、D」といったアルファベット表記などがある。外観がきれいであるほどランクは上になり、値段は高くなる。

ほとんどの店で、最低限の動作確認は行われており、カメラの動作に問題がある場合は「難有」や「C~Dランク」または「ジャンク品」と記されている。つまり、それ以上のランクなら、たとえキズやスレがあっても撮影自体に大きな影響はないということ。外観を気にしなければ、「並品」や「Bランク」あたりが狙い目になるだろう。

ポイント2 「外観のキズの有無を確認する」

外観をチェックする際、特に重点的に見るべきは、「ボディ底面」「電源スイッチまわり」「マウント部」の3カ所だ。カメラは使えば使うほど、テーブルや机、床、地面などどこかに置く回数が増え、それにともなって底面にキズやスレが生じる。つまり底面の状態が使用回数を知るうえで、第一のバロメーターといえる。

また、どんなカメラでも使用する際には、必ず電源のON/OFFを行うので、電源スイッチの可動部分にスレやテカリが生じているカメラは使用回数が多いと判断できる。同様に、レンズマウント部にキズなどがあるカメラは、レンズ交換を頻繁に行ったと考えられる。

そのほか、場所を問わず大きな凹みやキズがある場合は、どこかにぶつけたり落としたりした可能性が高い。

同一ランクの同じ製品であっても、キズの量や度合い、付属品の有無などによって価格には差がある

ポイント3 「内部のゴミやホコリを確認する」

内部がメカで構成されたフィルムカメラとは異なり、デジカメの内部は文字通りデジタル化されており、いわばブラックボックスのような状態だ。そのため、ユーザーがチェックして何かを判断できる部分はあまりない。

それでも最低限チェックしたいのは、一眼レフの場合はファインダー内のゴミだ。写りにこそ影響はないが、撮る際に目障りになる。レンズについては、レンズ内のゴミやホコリの有無を確認しよう。ただし、小さなチリ程度なら写りに影響は与えないので、神経質になる必要はない。

ポイント4 「動作を確認する」

続いて電源を入れて実際にシャッターを切り、オートフォーカス (AF) や連写時の挙動、メニュー表示などを確認しよう。レンズの場合は、ズームリングやフォーカスリングを回し、滑らかに作動するかをチェックする。

ポイント5 「付属品の有無を確認する」

付属品については、欠けたものがあると、その分の値引きされていることがよくある。バッテリーや充電器は必要だが、ケーブルやCD、ストラップに関しては不要な人もいるだろう。自分が使わない付属品なら、欠けているほうがむしろお得な場合もある。

中古カメラ店なら、最新モデルから数年前のモデルまで比較的リーズナブルに購入可能だ。これを利用しない手はない