2017年9月13日~9月15日の3日間、東京ビッグサイトにて「第19回 自動認識総合展」が開催された。会場には、バーコードの読み取りを行うデバイスや、画像や文字を読み取る技術、さまざまなセンサーからモノの場所や状態を把握するソリューションなど、最先端の自動認識技術が一挙に集合。本稿では、注目すべき展示ブースをいくつかピックアップし、その様子をレポートする。
自動隊列走行しながらICタグを読み取る台車で、倉庫作業の効率化を
凸版印刷のブースでは、ロボット開発メーカーであるZMPが開発した「CarriRo(キャリロ)」と、凸版印刷のICタグを連携させた取り組みを紹介していた。
CarriRoは、ルートを覚えて自律走行する先導車「RoboCar 1/10」を自動追従する物流支援ロボット。先導車に取り付けた光ビーコンを検知して追いかけるようになっており、追従するCarriRoにビーコンを取り付ければ、一度に複数台のCarriRoを無人隊列走行させることもできる。今回の取り組みでは、CarriRoにRFIDリーダを搭載することで、周囲にあるICタグを読み取り、倉庫内の棚卸作業やピッキング作業の効率化を実現するという。
展示では、2タイプのRFIDリーダを搭載したCarriRoでデモを実施していた。台車の左右に取り付けたボードから横に向けてICタグを読み取る電波を発信するタイプのCarriRoでは、棚卸リストの対象物が倉庫内の該当する棚に置かれているかどうかを自動で識別。また、台車上のICタグを読み取ることのできるタイプでは、ピッキング作業を想定して、台車に乗せた箱が運ぶべきものかどうかを判別していた。
なお、CarriRoの稼働時間は8時間で、最大積載荷重は100kg。サイズは幅600mm、奥行き900mm、最大速度は6km/hだ。
ICタグで陳列棚の商品をリアルタイムに把握
帝人は、ICタグを読み取って商品の個別管理を行う「レコピック」のデモを行っていた。
レコピックは、棚に取り付けたアンテナシートで、シート上に置かれた商品のタグ情報を読み取るというRFIDソリューション。陳列棚にある商品の情報をリアルタイムに把握できるので、消費期限の管理や、どの商品がいつどれだけ手に取られているかといった購買分析に活用することができる。
実際におにぎりを1つ棚から取り出してみると、10秒程度で管理画面上の在庫数が減少した。
アンテナシートは5cm~10cmまでしか電波を飛ばさないようになっているため、狭い間隔で設置されている棚でも、正確にタグを読み取るという。
展示は小売店を想定したものだったが、図書館の館内利用状況の把握や企業の機密文書管理などでも、導入が進んでいる。
センサーで集めたデータを、クラウドで集中管理するプラットフォーム
富士通のブースではRFID/センサーソリューションの紹介をしていた。
同ソリューションは、センサーから入手したデータをクラウドで管理するというプラットフォーム。RFIDタグやビーコンから入手したデータを同プラットフォームに蓄積・管理して、遠隔で管理したり、アプリに表示させたりすることができる。
展示では、物品の運搬を利用シーンに想定したデモを行っており、運搬中の商品にセンサー付きビーコンを取り付けることで、傾きや温度などをリアルタイムに把握し、連動したスマホアプリに商品の状態を表示していた。試しにビーコンの入ったカゴを傾けてみると、スマホ上ではケーキのイラストが傾いて、つぶれてしまった。取り扱いに注意しなければならない物品の状態を把握することで、輸送品質の確保に役立ちそうだ。
また、小売業界では、店舗内に設置したセンサー付きビーコンで温湿度などの環境測定と顧客の位置を検知すれば、顧客の動線データ取得や購買行動分析、施設のエネルギー消費最適化に役立てることもできるだろう。
今回は参考出展だったが、データ管理サービスに加え、システム開発を軽減するソフトウェアの提供や、RFID機器やタグ、導入支援サービスまで、ワンストップで提供する予定だという。
コンテナを通過させるだけで、内部のICタグ情報を瞬時に読み取る
マーストーケンソリューションではひときわ目立つ装置が展示されていた。
これはUHF帯RFIDを一括で読み取る装置で、コンテナ内のICタグを瞬時に読み取ることができるというもの。会場ではコンテナ内にICタグを取り付けた衣料品を入れて、装置の中を通過させ、タグ情報を読み取るデモを実施していた。
コンテナをコンベアに乗せて装置の中を通過させると、衣料品が50着入ったコンテナではわずか0.924秒でタグのIDを読み取り、300着の場合は2.802秒ですべてのタグを読み取ることができた。
自動搬送で梱包を開けずに一括でタグ情報を検知できるため、倉庫での検品だけでなく、セルフレジなどでも活用できるという。