VAIOは21日、最軽量時で約840gの11.6型モバイルPC「VAIO S11」を発表した。2014年に販売した「VAIO Pro 11」を思わせるシャープなデザインを復活させつつ、重量は現行モデルの920gから80g軽量化した840gとなっている。カラーはブラック、シルバー、ホワイト(カスタマイズ限定)に加え、新色のブラウンを用意。

VAIO S11

21日から予約開始。発売はWi-Fiモデルが9月29日から。LTEモデルが10月27日から。価格はオープン。店頭モデルの予想価格は税別147,800円前後から。直販のカスタマイズモデルは税別104,800円から。

左から順にブラック、ブラウン、シルバー、ホワイト。組み立ては従来中国で行っていたが、天板やパームレストといった重要パーツを日本で調達し、「メイド・イン・ジャパン」をうたえるレベルで国内組立の比重を増やしたという

同社11.6型モバイルPC「VAIO S11」の新モデルで、現行モデルと同じく、Wi-Fiモデルに加え、格安SIMカードなどを挿入してモバイル通信できるLTEモデルを揃える。新モデルでは特にウィークポイントの改善が図られた。「軽量化」「HDMI」「デザインのシャープさ」を求める現行ユーザーの要望に応えているという。

重量は、天板に東レのUDカーボンを採用することで、堅牢性を保ちつつ軽量化。現行モデルの920gから80g軽い840gとなった(最軽量時)。また、インタフェースはD-Sub、LANポート、USBポート、HDMI、SDカードスロットなどを装備。現行モデルからUSB Type-Cポートが省かれ、代わりにHDMIが搭載された。LANポートのカバーには、LANケーブルの爪が折れ引き抜けなくなった場合に備え、細い針金などを指してコネクタを引き抜ける「エマージェンシーホール」が設けられた。

本体(ブラウンカラー)の左側面

本体(ブラウンカラー)の右側面

外観デザインは、2014年に販売した同社11.6型モバイルPC「VAIO Pro 11」と近い、楔形の「ウェッジシェイプ」デザインを採用。開くとヒンジ部が持ち上がり、自動的に傾斜が付く仕組みだが、傾斜の角度を6.1度に、パームレスト部と机との段差を8.0mmに調整し、手のひらや手首の負担低減を図った。角度の調整は実機を使い、社員100人に調査したという。

開くと傾斜が付く仕組み。傾斜角度を最適に調整し、手のひらや手首の負担を低減する

キーボードは従来の静音キーボードを引き継ぎ、キーキャップの位置を下げることでキャップ部分が外れにくい仕組みを採用。また、90㎝落下や本体ひねり、ペンはさみ試験など従来の品質テストに加え、新たに水掛け試験を追加した。動作中のPCのキーボードに150ccの水がかかった場合でも、3分間電源ショートが起きない設計となっている。

タッチパッドは従来クリックボタン一体型だったが、13.3型モバイルPC「VAIO S13」で使われている左右2分割のクリックボタンを導入。合わせてボタンのクリック音が静音化されている。上位モデルでは、パームレストにWindows Hello対応の指紋認証センサーも備えた。

キーボード部分は段差を設けない設計に。クリックボタンも新たに設けられた

LTEモデルでは、Windows 10のデータプランに日本で初めて対応した。Windows 10のデータプランは、対応SIMを使うことで、通信事業者との契約をせずとも、使いたい時に「Microsoft ストア」で通信容量をスポット購入できるサービス。VAIOのLTEモデルでは、フランスの通信事業者、Transatel製のデータプラン対応SIMを同梱。加えて、1カ月の間、1GB容量のデータ通信が無料で使えるサービスも付属する(以降はスポット購入が可能)。同SIMでの通信はローミング接続となるため、初回接続時には通信できるまで最大3分程度かかるという。

同SIMで用意されるスポット料金プランは、500MB/1日で700円、1GB/7日間で1,200円、3GB/1カ月で3,000円、10GB/3カ月で8,400円。なお、年単位でモバイル通信サービスを提供するSIMサービス「VAIO SIM」は提供継続する。容量あたりの単価は高いが、1日単位など手軽にスポット利用できるWindowsデータプラン対応SIMと、契約は年単位だが容量あたりの単価が低いVAIO SIMの両方を提供していく。

対応バンドも拡充され、LTEではBand 1/2/3/4/5/6/7/8/12/13/17/20/21/25/26(18/19)/28/29/30/38/39/40/41に対応。キャリアアグリゲーションにも対応する。通信速度は下り最大450Mbps。

個人向け標準仕様モデル

量販店などに並ぶ、個人向け標準仕様モデルは、第7世代Core i5搭載LTEモデル、同Wi-Fiモデル、第7世代Core i3搭載Wi-Fiモデルの3種類をラインナップ。

Core i5搭載モデルの主な仕様は、OSがWindows 10 Home 64bit、CPUがIntel Core i5-7200U(2.50GHz)、チップセットがIntel HD Graphics 620、メモリが4GB、ストレージが128GB SATA SSD、液晶が11.6型ワイド(1,920×1,080ドット)など。

通信機能は、10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T対応有線LAN、IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN(11acはMU-MIMOに対応)、Bluetooth 4.1。LTEモデルでは、無線WAN(LTE/3G)も対応する。

インタフェースは、USB 3.0×3(うち1基は給電機能付き)、SDカードスロット、D-Sub、HDMIなど。本体サイズはW283.4×D195.5×H15.0~17.9mm、重量は、LTEモデルが約860g、Wi-Fiモデルが約845g、バッテリ駆動時間は約15時間(JEITA 2.0)。

カラーはブラック、シルバー、新色ブラウンを用意。モデルにより用意するカラーが異なり、LTEモデルではブラックとシルバーの2色、Wi-Fiモデルではブラック、シルバー、ブラウンの3色となる。店頭予想価格は、LTEモデルが税別177,800円、Wi-Fiモデルが税別162,800円。

Core i3搭載モデルの主な仕様は、Core i5搭載モデルから、CPUをCore i3-7100U(2.40GHz)に、バッテリ駆動時間を約16時間(JEITA 2.0)に変更。本体サイズは同等のW283.4×D195.5×H15.0~17.9mmだが、重量はラインナップの中で最も軽い840gとなる。カラーはブラック、シルバー、新色ブラウンの3色。店頭予想価格は税別147,800円。

カスタマイズモデル

直販のカスタマイズモデルは、現行モデルからカスタマイズ内容が大幅に増加。1,280通りのカスタマイズが可能となっている。Core i7や第三世代ハイスピードSSD(PCIe) 1TBなどが搭載できるほか、英語キーボードや限定色ホワイトも選択可能。最小構成価格は税別104,800円。