サッポロホールディングスは、グループ全体の業務効率化を推進するためにAIを活用した働き方改革に着手。2016年12月から2017年4月にかけて実証実験を行い、その結果を受け、2017年末までに本格導入を計画しているという。

サッポログループマネジメント グループIT統括部 営業情報グループ 河本英則氏

この改革の中心になっているのは、グループ内で人事・総務・経理・ITといった業務を総合的に代行するための機能分担会社である、サッポログループマネジメント社だ。

「現在サッポログループでは、グループ創業150周年となる2026年までの10年間の取り組みとして、"サッポログループ経営ビジョンSPEED150"を掲げています。2026年に向けたグループビジョンは『酒』『飲』『食』で個性かがやくブランドカンパニーを目指しますとし、3段階の中期計画を作成しています。現在は第一次中期として「成長ステージに向けた異次元スピードでの変革に取り組んでいます」と語るのは、サッポログループマネジメント グループIT統括部 営業情報グループの河本英則氏だ。

サッポログループ経営ビジョン「SPEED150」

その一環として導入されたAIの活用先は、グループ内問い合わせ対応業務の効率化だ。サッポログループマネジメントは、グループ内6000名からの問い合わせを約120名のスタッフで受ける形で、業務上のさまざまな疑問に対応している。その時間は膨大で、スタッフ全業務の20%程度が問い合わせ対応に割かれているという声もあったという。

この状態はサッポログループマネジメントの社員の高い業務負荷だけでなく、問い合わせを行う側のグループ社員にとっても待ち時間が長いという課題になっていた。また、問い合わせ窓口が一本化されたいないため、必要な情報がどこにあるのかもわかりづらくなっていた。

「業務用のポータルサイトはありましたし、FAQの整備なども行っていたのですが、業務ごと、部門ごとに作っている状態でした。問い合わせる側としてはどこに情報があるのかわからず、どこを見ればいいのかというようなことも問い合わせになります。結果として、この内容はあの人に聞くとわかるというような感じで属人化していました」と河本氏は語る。

FAQもExcelでまとめた程度のものであったり、適宜更新が行われておらず古い情報が混ざっていたりと使いづらいものになっていた。

問い合わせ業務に対する課題

「そこで、問い合わせを可視化し、対応するFAQの作成と更新を適切に行えるようにしようと考えました。それによって、浮いた時間を本来業務に注力できるはずです。結果、効率的な手法をさぐるうちに、AIの活用にたどり着きました」と河本氏。問い合わせ対応の迅速化ができれば全体的な効率化が望める。それによって、顧客対応の充実や売り上げ向上を図るというのが目的だ。

問い合わせ業務のありたい姿