日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は8月24日、NIがオープンソースソフトウェアとして提供している物理層のリファレンスデザイン「LabVIEW Communications MIMO Application Framework」(以下 MIMO Application Framework)に関して、新たにマルチアンテナのユーザー端末(UE:User Equipment)に対応したことを発表した。

「MIMO Application Framework」は、Massive MIM(大規模MIMO)のプロトタイピング向けに市販されている、複数のFPGA上で並列実行可能なアーキテクチャの物理層リファレンスデザイン。Massive MIMOの研究は机上のシミュレーションに留まらず、5G(第5世代移動通信システム)に求められる要件を十分に満たした無線通信プロトタイプを通じた検証へ発展させることができる。

同ソフトウェアとNIのソフトウェア無線ハードウェアと組み合わせることで、シングルユーザーMIMO、マルチユーザーMIMO、Massive MIMOなど、さまざまなMIMO技術の実験を実際の電波伝搬を介し、かつ実際のシステムと同等のリアルタイム性を有した状態で行えるという。

また、LabVIEW Communicationsのソースコードとして提供され、細部に至るまで再構成・修正可能なため、システムの設計や統合にかける研究者の労力を最小限に抑えつつ、複雑なMIMO通信システムの試作を迅速に行うことができる。

今回の同ソフトウェアのアップデートにより、基地局だけでなくユーザー端末でもビームフォーミングを導入できるようになり、ネットワーク全体のスループットの向上、セルカバレッジの拡大、干渉抑圧などに向けた多くの技術に対応可能になる。

なお、同ソフトは最大1.5ギガビット/秒以上の伝送スループット、柔軟性が高く再構成が可能なTDD(時分割複信)ベースのフレーム構造、双方向通信に対応するのに加え、ソースコードを変更しなくても上記の動作を満たせる状況で提供されるため、購入後即座にMassive MIMOの実験が可能。また、別の手法を使う場合と比べて数分の1の時間でユーザー独自の信号処理用アルゴリズムをシームレスに統合可能ということだ。