Appleの電子決済サービス「Apple Pay」。2017年10月で日本でのサービス開始から1年を迎えるが、その利用動向はどうなっているのだろうか。そこで、マイナビニュース会員を対象としたApple Payに関するインターネットアンケートを実施した。アンケートの回答をもとに、Apple Payの現状を分析してみたい。

Apple Pay、使ってる? (画像はAppleのWebサイトより)

なお、本アンケートの有効回答における男女比は、男性が約64%、女性が約36%となっている。年齢分布については40代の回答者が最も多く35%、以降30代の28%、50代の19%がこれに続いている。

Apple Payの認知度

Apple Payを知っていますか

まずはApple Payの認知度について。結果はApple Payを知っているという回答が76%となり、「知らない」の24%を大きく上回った。

Apple Pay、使ってる?

Apple Payを使っていますか

ところが「Apple Payを使っていますか」という利用状況の質問では、「はい」が23.7%、「いいえ」が76.3%となり、最初の設問から逆転する格好となった。Apple Payはある程度の認知を獲得してはいるものの、ユーザーはまだ3割に満たないという現状が浮き彫りになった。

Apple Payを使っている理由

Apple Payを使っている理由はなんですか (単一回答)

  • 財布を持たなくてすむから: 35.0%
  • Suicaの機能を使いたいから: 17.8%
  • 使えるショップが多いから: 16.7%
  • 複数のApple製品で使えるから (iPhone、Apple Watch、iPad等): 17.2%
  • セキュリティ面で信頼できるから: 10.6%
  • その他 (自由回答): 2.8%

Apple Payを使っていると回答した人にその理由を訊ねたところ、最も多かったのは「財布を持たなくてすむから」となり、全回答の35%を占めた。これに「Suicaの機能を使いたいから」という回答が17.8%で続いている。

日本国内では、Apple Pay以前にフィーチャーフォンやAndroidスマホで「おサイフケータイ」やSuicaのモバイル決済を利用できる環境が整っていた。そのため、Apple Payの登場により、iPhoneでも同様の機能が使えるようになったことを歓迎する向きがあるようだ。

3番目に多かった回答が「複数のApple製品で使えるから」という、デバイス側に触発されてApple Payを使い始めたという声だった。

ちなみに、駅の改札や店舗でもApple Payを使える端末は、iPhone 7 / 7 Plus、iPhoneにペアリング済みのApple Watch Series 2となっている。というのも、iPhone 6s / 6s Plus、iPhone 6 / 6 Plus、iPhone SEなどはNFC機能が内蔵されていないため、Apple Payの利用がApp内やSafariのWeb上での支払いに限定されるのだ。この点は注意したい。

クレジットカードは、American Expressなど日本で発行されているものの約8割をカバーしている。電子マネーの方式はSuica、iD、QUICPayの3種類に対応。なお、日本で発行されたクレジットカードを登録している場合、Apple Payの利用は日本国内に限られる。

また、4番目に多かった回答は「使えるショップが多いから」(16.7%)。5番目は「セキュリティ面で信頼できるから」(10.6%)となった。

Apple Payの気に入っているところ

Apple Payを利用していると回答した人には、Apple Payの気に入っている点について自由記述で答えてもらった。

男性の回答者からは「小銭を持ち歩かなくてすむ」という声が複数寄せられた。外出時の手荷物を極力減らしたいという人にとって、Apple Payを使うメリットは大きいよう。

回答をさらに見てみると、決済時の簡単さやスピード感を評価する声もあった。一方で「(おサイフケータイ機能のあるスマホではなく) iPhoneを選んでしまったから仕方なくApple Payを使っている」、あるいは「付いているんだから使わなきゃ損」という、一歩引いた目線からApple Payと付き合い始めたという人もいるようだ。

Apple Payを使わない理由

Apple Payを「使っていない」と答えた人にも、その理由を選択形式で回答してもらった。

Apple Payを使わない理由はなんですか (単一回答)

  • 対応の端末をもっていないから: 50.6%
  • 対応のクレジットカードを持っていないから: 9.6%
  • 設定方法がわからない、もしくは面倒だから: 23.1%
  • 使えるショップが少ないから: 6.7%
  • セキュリティが不安だから: 7.1%
  • その他(自由回答): 2.9%

最も多かったのは「対応の端末をもっていないから」という回答で、50.6%に上った。ここで指摘しておきたいのは、2012年以降のMacや第1世代のApple Watchなど、Apple Payを利用できる端末は意外と多いということだ (前述したように、App内やSafariのWeb上での支払いのみ可能という場合もあるが)。Appleのサポートページでは、Apple Payの対応デバイスと利用条件について詳しい説明が掲載されているので参照してほしい。2番目に回答の多かった「設定方法がわからない、もしくは面倒だから」(23.1%)の解法についても、同じくAppleのサポートページで見つけられるだろう。

Apple Payを使わない理由の中には「セキュリティが不安だから」という声もある。Apple Payでは、Touch IDやパスコードによる認証を必須としているだけでなく、購入データの保護についてもレベルの高いセキュリティ技術を採用している。しかし、電子決済サービスのセキュリティについて不安を訴える声は根強く、特にサービスを利用したことのない人にとっては、その安全性に実感がわかないところだろう。Apple Payをはじめ、電子決済サービスの運営側には、今後も継続してセキュリティに関する情報発信とサポートをし続けていく努力が必要そうだ。

調査時期: 2017年7月25日~27日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 男女1,001名
調査方法: インターネットログイン式アンケート