市場は成長中

製品発表会の冒頭、パナソニック サイクルテック 社長の片山栄一氏が市場動向や販売戦略を語った。まず片山氏が指摘したのは、欧州と国内における電動アシスト自転車のトレンドの違い。欧州では、すべての電動アシスト自転車に占める「電動マウンテンバイク」の比率が、2017年には23%に達した。

これに対し、国内ではわずか2%程度に留まっているのが現状。パナソニック サイクルテックでは、ここに市場が成長する余地を見出した。2020年には10%まで成長させたい考えで、初年度は200台を販売目標に設定している。なお電動アシスト自転車の市場規模は、日本は60万台、欧州は70万台とのこと。欧州で普及率が高い国はドイツやオランダ、スイスだが、人口当たりで考えると日本の普及率はかなり高いといえる。

パナソニック サイクルテック 社長の片山栄一氏(左)。国内では、すべての電動アシスト自転車に占める電動マウンテンバイクの比率は、わずか2%程度なのが現状(右)

パナソニック サイクルテックでは、これまで長きに渡り欧州市場に電動ユニットを供給してきた。このノウハウを活かし、今後は国内市場に打って出る。片山氏は「日本でも、電動スポーツバイクは普及していくと考えている」と話し、販売戦略に期待を寄せた。

競合製品より高いが?

電動アシスト自転車というと、子供を乗せる主婦層向けのモデルを思い浮かべる人も多いだろう。そうした競合製品と比較すると、XM1は高価だ。価格について記者から問われると、片山氏は「価格の上下動が大きい家電製品と違い、電動アシスト自転車の価格は(各カテゴリで)ほぼフラットで推移していく。このため、他のカテゴリの電動アシスト自転車と価格を比較して心配する必要はない」と回答。

また、国内で電動アシスト自転車に参入している企業は3社しかなく、その中で電動マウンテンバイクを開発しているのはパナソニック サイクルテックのみ。そうした背景から、33万円という値付けにも自信を持っているようだ。もっとも、「今後はより低価格で使いやすいモデルの導入も考えている」とも話していた。

走行距離がやや短いのでは、との指摘には、パナソニック サイクルテック 商品企画部 係長の金森修一氏が「新開発のスポーツドライブユニットはパワーロスが少なく、ペダルに加えた力を無駄なく効率的に伝える。起伏がフラットな街中では、ほとんどアシスト力が必要ない」と回答。「78km走行できるECOモードなら、都心部から八王子くらいまでの距離を往復できるので問題ない」と説明していた。

パナソニック サイクルテック 商品企画部 係長の金森修一氏(左)。XM1には、パワーロスが少なくて済む新開発のスポーツドライブユニットを搭載している(右)