Appleが現在も一定の人気を集めるiPhone SEを変化させるかどうかは分からない。少なくとも、iPhoneラインアップの中で最もコンパクトかつ、身近な価格に設定するという性格を崩すことはないだろう。つまり399ドルから下がることはあっても、価格を上げるという選択肢は、まず、ない。サイズについても、大きくなることは、まず、ない。

しかし、もし、iPhone SEのコンパクトなボディに、現在のiPhone 7と同等のサイズのディスプレイを搭載できるとなると、どうだろうか。現在のiPhone 7ユーザーにとってみれば、画面サイズを変えずに大幅に小型化されるという、非常に魅力的な選択肢が生まれることになる。

こうしたデバイスが上手くいく可能性は大いにあると思う。十分な画面サイズと、これまでにないコンパクトさを両立するデバイスは、「プレミアムコンパクト」を求めるユーザーにとっての、「唯一の選択肢」になり得るからだ。

デバイスを小型化して魅力を生み出すことに関心を抱きそうな企業、あるいはそれが可能なメーカーは、現在のところ、Apple以外に見当たらない。iPhone 8のようなハイエンドスマートフォン以外のデバイスの舵取りは、より複雑で難しいが、Appleがどのように取り組んでいくのか、今後も興味深く見守っていきたいところだ。

その意味でも、まずはiPhone 8で、次の世代のiPhoneの姿を見せていくことが重要になるだろう。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura