ニュース配信アプリが、その存在感を強めている。かくいうマイナビニュースもこうした複数のアプリ事業者と提携し、コンテンツ配信に協力してもらっている。しかし、ますます勢いをみせるニュース配信アプリだが、課題も少なからずある。
今回、お話しをうかがったのは、情報キュレーションサービス「グノシー」と無料ニュース配信アプリ「ニュースパス」を運営するGunosyだ。前者は社名を冠しているとおり、同社の基幹サービスで、1,900万ダウンロード。後者はKDDIとの共同事業で、2016年6月から提供された若いサービスだが、すでに200万ダウンロードに届いている。
Gunosy 共同創業者 開発本部 データ分析部 東京大学大学院 工学系研究科 客員研究員 博士 関喜史氏は、「弊社の事業モデルの特徴のひとつとして“編集者”“記者”がいないということが挙げられます」と切り出す。つまり、配信するコンテンツは提携する600以上の媒体から収集し、アルゴリズムにより掲載するものを選別。その際、カテゴリ分類やSNSでの話題度、実際にユーザーにどのくらい読まれているのかなどで記事がスコアリングされる。
こうした掲載プロセスのため、コンテンツを選別するアルゴリズムの精度が重要になってくる。特にセンシティブに対応しなくてはならないのが、「フェイクニュース」や「クリックベイト」と呼ばれるコンテンツだ。
ウソで塗り固められた「フェイクニュース」
関氏は、この両者について解説してくれた。まずフェイクニュースだが「話題になりそうな事象があたかも本当に起こったかのように書かれた記事のことです」という。つまり、文字どおり“ウソのニュース”のことである。
イギリスのEU離脱を問う国民投票の際、フェイクニュースがSNSなどで拡散し、投票結果に影響したともいわれているし、米大統領選ではあらぬスキャンダルが流された。日本でも熊本地震の際に、“猛獣が逃げ出した”とする内容のフェイクニュースが拡散し、逮捕案件にもなった。こうした問題を受け、主要メディアによる協議会設立の動きがみられ、フェイクニュース対策のルールづくりが急がれている。
関氏は、「こうしたルールが徹底されればフェイクニュースはある程度防げるでしょう」と話す。そして何よりも「フェイクニュースはいわゆる“捨てサイト”でしか使えませんから、読者から恒常的な信頼を得ることはできないでしょう」とも指摘する。個人が拡散するSNSはともかく、“確かなソースサイト”として存在しなくてはならないニュース媒体では、フェイクニュースは淘汰されるというワケだ。